・21 ワタシ ページ22
わかってる、俺はズルイ。
忘れたくて、すっきりしたくて
そのために彼女を使おうとしたんだ。
一度は俺を甘やかした彼女に、
またその役目を担ってもらおうと
あわよくばそのまま俺を許して、
俺を包み込んでくれたらいいなんて
都合のいいことを考えていた。
ストレスの捌け口で
逃避の為の受け皿で
安らぎを得る為の道具だった。
それなのに、追い掛けた先は―――――
彼女だって気付いてる。
自分がここにいる理由。
大切そうに花が生けられた小瓶。
そしてその正体……
「……ごめん、なさい……」
謝る事しかしない俺。
殴って、怒鳴り散らしたっていいくらいなのに
「許さない、から……
……帰る。」
彼女はそう言うと、俺の顔を一度も見る事なく
俺の部屋から出て行った。
“許さないから、貴方には抱かれずに帰りますよ？”
殴って、怒鳴って、泣き喚いたっていいくらいなのに
怒って、ムカついて、はらわた煮えくり返って仕方ないはずなのに
最後の最後まで俺を気遣う言葉を掛けてくる君は
優しいのか、残酷なのか？
「……ふざけんなよな、おまえ……。」
無機質で冷たいガラス瓶に向かって
自分勝手な台詞を吐いて、思い切りそれを手で払い除けた。
小瓶は硬い音を立てて床の上をバウンドして
またごろりと回転して止まる。
「おまえの、言うとおりだな……。」
お前のこと、手元に置いておくべきじゃなかった。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2014年9月9日 16時
