～箱庭～ワタシとアイツのその頃【N.K】 (ページ21)

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・20　ワタシページ21

ゴトッ

と、音を立てたものの方へ視線を投げると

カウンターの上の小瓶が中の水と花をぶちまけて

その場でくるりと自身を回転させた姿が目に飛び込んだ。

落ちるっ――――

「あっ」

咄嗟に手を差し出して、落ちて行くのを止めようとするのも空しく

小瓶は床に向かって落下すると

軽快な音を立てて床の上を転がった。

割れてしまうかと思ったそれは、一切姿を変えることなく

また少し回転した後ゆっくりと動きを止めた。

……ビックリした、割れたかと思った。

はぁ、と溜め息を吐いて小瓶を拾い上げて

身体を起こした時……

さとみちゃんの存在に気付いた。

「あ……」

少し離れた所にいた彼女は、真剣な表情で俺をじっと見つめている。

……咄嗟の事で、俺は彼女をどう扱ったのか覚えていない……

まさか、突き飛ばしたりなんか……してないよね？

「あぁ……ごめん。」

「……大事なもの？」

「いや、ほら。割れたらメンドーじゃない。」

カウンターの上に、雑に小瓶を置いて

いつの間にか床に放り投げていたタオルを手に取った。

「濡れなかった？大丈夫？」

カウンターの上の水溜りにタオルを乗せると水気は一気にタオルに吸い上げられる。

「……大丈夫。」

暗い声で呟くさとみちゃんの声を聞いて

彼女の方に視線をやる。

「……あたし、結構いまムカついてる。」

どこでもないどこかに視線を向けているさとみちゃんから

投げ捨てるように言葉が吐かれる。

「……ごめん。」

それ以上の言葉も、それ以外の言葉も、どうしたって浮かばない。

逃避していた脳みそは完全に覚めて

俺は痛い現実と向き合う羽目になった。