～箱庭～ワタシとアイツのその頃【N.K】 (ページ3)

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・02　ワタシページ3

「お待たせ。」

そう言って後部座席のドアを開けると

素早く運転席の真後ろに移動してシートベルトを締めた。

マネージャーは気を遣ってか、何も話しかけてこない。

それが今は、有り難いような…余計なお世話のような…

こんなに静かにされてたら、無駄に感傷に浸っちゃうよ。

案の定俺は手の中のプリンを見つめていると、

アイツと過ごした短い時間が頭ん中を駆け巡るんだ。

「よねちゃん。」

「はい？」

「プリン食う？」

「今ですか？」

「いや帰ってからでも。」

「その頃には生ぬるくなっちゃうじゃないですか。」

そうだねって２人で笑って、またすぐ静かになって。

俺はプリンを口に運んだ。

やっぱり、食わなきゃ良かったな。

バカだな、俺。

どこにでもある素朴なプリン、きっとこれは東京でも出会う。

そのたびに俺は、アイツの事を思い出しちゃう気がするんだ。