～箱庭～ワタシとアイツのその頃【N.K】 (ページ14)

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・13　ワタシページ14

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俺の腕の中で、艶やかに濡れて鳴くさとみちゃんが

「今だけあたしのこと、あの子だと思っていいよ」と言って笑う。

でも俺ね、そういう器用な事は出来ないの。

例えばさ、翔ちゃんが“謎ディ”やったじゃない。

あれの原作を読んでる時って、頭の中に翔ちゃんが再生されないの。

声も、顔も、浮かばない。文字を追いかけてる自分の声しか聞こえないのよね。

想像力は豊かなのにさ。

それと一緒。

さとみちゃんに、アイツは重ならないし、見えてこない。

「いま…俺が抱いてんの、間違いなくあなただから……」

そう言って強く攻め立てると、呼吸を乱してひときわ美しく鳴く。

「誰にもならないで、あなたのままで、俺に抱かれてよ。」

頬を指でなぞると、その指に擦り寄ってくる。

「うん……。」

囁くように、吐息のように返事をした彼女を

また激しく攻め立て乱れ狂うと、

自分の欲求を、彼女に全部ぶちまけた。

重ならないし、見えてこなくても

頭の中ではアイツの事を考えていた。

会いたかったし、

会えると思ってたよ。