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「聞かれたくないことを聞かれてしまった」
さっきもそういう、顔をしていた。
その時の表情と、大差ないと言えば、大差ない。
ただ、内心で思うことが違うのだろう、
その表情は、さっきが蒼白なら今度は赤面……
聞かれたくないことを……
聞かれてしまった？
見詰め合う俺とAさんを見てなのか……
種類の違う、2つの笑い声が聞こえる……
笑われている事にも気付かず硬直したままのAさんは
智君に「コーヒーごちそうさま」と声をかけられ
やっとそこでこちらの世界に戻ったかのように
我に返って上ずった声を上げ、
ニノの「ごっそーさまー」の声で、ふくろうのように
首をコキコキ、と動かし活動を再開する。
缶コーヒーと共に事務所に消えていく2人を見送りながら
不自然な動きをする、Aさんの首。
……若干ホラーなくらいに動きが気持ち悪いんですけど。
でも、
そこまで動揺するようなことが、君にはあるの？
赤面くらいしたっていい。
お前アイツのこと好きだろ〜って言われて
全然そんなことないのに何故かすんげー恥ずかしくて赤くなる心理は理解できる。
だから智君から言われた事なんか、
「そんなわけないじゃないですかぁ〜！」って
アホみたいに両手ぶんぶん振って否定して、
「櫻井さんが好きとか、どんだけわたしドＭですか〜！」って
「あんなに冷酷な人、好きになるわけないじゃないですか〜！」って
そんなこと言わない事は分かってる、けど
言われていいくらいのことをし続けてきた自覚があるから。
だからそんな、智君の言葉を真に受けて
言葉も出ずに動揺する、のは……
俺としては……遠慮したい、動向……なんだけど
翔「Aさんは……」
彼女は、テーブルの上の拳を、さらにギュッと強く握る。
身体がひと回り小さくなったんじゃないかと思うくらい
身体に力がはいっているのが分かる。 …………
……
……・・・なんだかな
一瞬でも
「ホントに俺が好きなの？」と思ったら
疲労感がハンパない。
俺は、
俺は……
そうな風に想われないために
今まで、ずっと……
なんで俺はそこまでして、
Aさんを遠ざけてきたんだろう。
彼女が来た当初、必要以上に馴れ合うことはないと思ったのは確かだ。
だけどここまで頑なになったのは……
俺が彼女を好きになったから、で
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2016年7月19日 0時
