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彼女は俺の言葉を聞いてムッとした顔をつくると
「しません！」と一言。
なんだよ……してねぇの……
それならもう、いいわ、と思って気のない返事をすれば
何故か彼女はもう一度「付き合ってません！」と息巻く。
べつに、いいだろ？松本との仲を勘違いされるくらい。
そんなムスッとして2回も否定しなくたっていいじゃん。
「……あそう」
……松本も、かわいそうだな。
あんなに優しい目でお互い見つめあうのに、現実はこうもキッパリ否定されるんだから……
Aさんも、悪い女……
つい、笑い出してしまいそうになって、それを誤魔化すのに
もう一度小銭を探すふり。
……ふりじゃなくてマジで買ったっていいんだけどさ、缶コーヒー。
と、そこへ
事務所の扉からふらっと雅紀が出てきて
「あー翔ちゃんおかえりー」と気だるげな声を出す。
翔「おう。疲れてんなー(笑)」
雅紀「んー」
相変わらず時間配分が下手くそなんだな、週末にどたばたするのはいつものことだ。
自販機の前に立ってポケットに手を入れる雅紀に
「待って相葉ちゃん！」とAさんは声を掛ける。
雅紀「ん？」
A「相葉ちゃんは、コレ」
くるりと振り帰った雅紀に、笑顔でコーヒーを差し出すAさん。
自分の飲みかけ、よくもまぁそう簡単に……
雅紀「いいの？」
A「うん、あたし一口飲んだけど」
雅紀「サンキュー」
だけど雅紀はそんなこと一切気にもせず、もらった缶コーヒーにすぐ口を付けて……
すたすたと事務所へ帰っていく。
……少しは気にしろ色々と！
Aさんがコーヒー並べてる事とか、
全部口が開いてる事とか、
それを平気で差し出す事とか、
ツッこむところは色々あるだろ！？
流れが軽やか過ぎなんだよ！！
翔「ああ、もしかして付き合ってんのは雅紀だった？」
A「違います！付き合ってません！」
翔「……あそう」
……うん、どうせ違うだろうとは思ったよ。
あんな少しのやりとりの中に親密さを滲ませておきながら、
どうせ付き合っちゃいないんだろうとは思ったよ。
本当にもう、Aさんて……
「翔ちゃーーーん」
と、Aさんの小悪魔っぷりに辟易しかけた時
正面から歩いてくるニノがゆっくり大きく手を振る姿と
隣でその手がぶつかりそうになっている智くんが目に入った。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2016年7月19日 0時
