7時はご飯の時間です。～5つの微糖～【S.S】 (ページ26)

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翔「法律じゃないんだけど……」

智「翔ちゃんは血も涙もないよ！よくそんな酷い事が言えるね！」

翔「櫻井くんて言ってください。じゃぁどうするんですか、大野さん、解決策あります？」

そう言われた智君、ぐっと眉間に皺を寄せると

今までにないくらい……部長らしい機敏さを見せた。

智「手袋の絶対着用を義務付けます。それじゃ作業がしにくい場合の薄手の指サックも支給。

ニノ、現場に周知と全員に洩れなく手袋の配布。」

ニノさんは「はいはい」と立ち上がると、

「はい、いこー」と言ってビッキーさんときみちゃんさんを促しながら

ぼてぼてと事務所の扉を目指して歩く。

智「翔ちゃんは指サックの支給申請書の作成。」

櫻井さんは「はい」と返事をして

申請書の入っている引き出しへ向かう。

智「潤君は第三への周知。」

潤君は「はーい」と返事をして、今まで作業していた液晶画面を閉じて

メール画面を開くと同時に、ポケットからケータイを取り出す。

智「相葉ちゃんは今取引してるとこで指サックを扱ってる会社のピックアップ。」

相葉ちゃんも「はい！」と返事をしてピンと手をあげ、液晶を覗き込む。

智「Aさんは、」

名前を呼ばれて背筋を伸ばすと

智「今すぐ指サック買いに行って来て。申請が通って指サックの発注から到着までの間に使う分。」

と、男らしい視線で指示を出され……

「はい！」の返事と共に、急いで事務所を飛び出した。

あの時は

いくらなんでもそりゃないぜ……って、あたしも思った。

だけど、ね

櫻井さんだって、唇テカテカしてるんだよ？

ポケットからリップを取り出して、ぬりぬりしてるのだって見たことある。

それでも、全面禁止をすんなりと言い渡す櫻井さんは

……うん、ただの鬼じゃないって、思った、かな。

それ以降、油が付着することはなくなった。

さすがに指サックの指で唇を触ることはないらしい。

理由は「なんか汚い～」とのこと。

でもニノさんは

「てめぇ素手で作業してた時はその素手が汚かったってこと気付けよ」って

あたしにだけ聞こえる声で毒吐いてたけど(笑)

あの出来事のせいで櫻井さんはますます、好感度が下がった、らしい。

だけど潤君は「大野さんを利用して誘導しただけでしょ」って笑ってた。

真実がどうかは、知らないけど。