94話 駄菓子屋さん ページ7
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「え、500円以内で！？」
「充分でしょ、駄菓子屋さんなんだから。」
風間君にそう言われた相葉君は、手に持っていた財布の中身を凝視する。
「1000札しかないもん……1000円使わなくっちゃ……」
「どんだけ買うの！てかなんで所持金全部使い果たそうとするの？
お釣り出るって知ってる？」
わたしと由里子と風間君で、堪えられない笑いを吐き出す。
夏休み。
みんなで夏休みの宿題片付けちゃおうかという名目で集まって、ウチへ行くまでの道すがら、
由里子の「駄菓子屋さん行きたい」の言葉を受けて、
電車を一本手前で降りて、4人で駄菓子屋さんへ突入したところ。
駄菓子屋さんと言っても、昔ながらのおばあちゃんがいるような古臭いお店ではなくて、
敢えてレトロ感を出した綺麗な内装のお店で、
駄菓子以外にもスナック菓子は置いてあるし、可愛い雑貨も売っている。
意気揚々と「買うぞー！」と張り切る相葉君を見て
すかさず金額設定をした風間君は賢いと思う。
駄菓子屋といえど、好きなものを欲しいだけカゴに放り込んでいくと、
意外とものすごい金額になったりするもん。
相葉君は確実に……放っておいたらレジであたふたする羽目になると思う。
「500円か、マジか……やべー！慎重にいかないと！」
「そうだね、そうそう、そういうことだよ？」
相葉君の隣で頷く風間君は、楽しそうに笑ってポテトフライを手に取る。
「大丈夫なのー？足し算できるー？」
由里子は少し遠くで相葉君に背中を向けたままそうやって声をあげ、
みつあんずを1つ手に取った。
「ねぇ、みんなも500円以内でしょ！？」
「お父さんがそう言うからね」
「え、お父さんて僕のことですか？」
風間くんが自分を指差して笑う。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年10月7日 0時
