103話 波のプール ページ16
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風間くんも由里子も大人だなぁと思うのは、
帰ってきた由里子にいつもの顔をして「はい、浮き輪」って差し出す風間くんとか、
それをいつもの顔して「サンキュー♪」って受け取る由里子にある。
びしょびしょになって帰ってきた由里子と相葉くんは、
膨らんだ浮き輪と一緒にわたしと風間君を波のプールに連れ出した。
「わわ、す、すごい……海みたい……」
「ぶふふ！Aちゃん本当にプール来た事ないの？」
ほらここ乗りなって、相葉くんは自分の浮き輪を波に浮かべてガッチリ支えてくれて
「お姫様座りすんの♪」って、わたしをそこへ座るように促してくれた。
わたしがそこへボスッと座ると、相葉くんは波に向かって進んでいって、
時々「わぷ！」って水をかぶりながら
わたしを乗せた浮き輪のヒモを掴んで、奥の方までどんどん進んでいく。
「う―――わ―――気持ちいい―――♪」
「ほんと？そりゃよかった―――♪」
奥まで来るとそこそこ深くなるみたいで、波が来るたびに顔を濡らす相葉くんは
わたしの座る浮き輪を掴んで、そこで腕を組んで顎を乗せる。
「ふぃ―――……ヨッシーと風間……あ、いたいた」
風間くんはスタンダードな浮き輪の使い方でプカプカ浮いていて、
浮き輪の上でお姫様座りをしている由里子の浮き輪のヒモを掴んでいる。
「なにあれ、ケンカ中のカップルみたい」
「まぁさっきケンカしてたしね」
こっちに気付いた由里子が、首からぶら下げてきたカメラを右手に、
そして左手を一生懸命振ってくる。
それに応じてわたしと相葉くんは、笑顔で由里子にピースサインを送り、
由里子のカメラは、シャッターを切った。
そこで風間くんが由里子にパシャっと水をかけて……由里子が怒ってやり返して、
由里子は浮き輪をひっくり返されたりして、
めちゃくちゃ怒る由里子に風間くんは爆笑してたりして。
相葉くんはわたしごと浮き輪を2人のところまで押しながら泳ぐと、
そっと風間くんの背後に回って、そしてすぅっと息を吸い込み水の中へ潜って行く。
直後風間くんの「ぎゃっ！！」という叫び声と、水の中に消えていく身体……
「……ぷはっ！……おいコラ相葉ァッ！！」
「ぎゃはははは！風ポンが怒ったぁ―――ははははは！」
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年10月7日 0時
