父と、結婚指輪と、私。【N.K】 3 (ページ11)

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98話　夜8時ページ11

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side和

夕飯に麻婆豆腐を食べ終えて、Aの淹れたお茶を飲む頃には

時刻は夜の20時をとうに回っていた。

「相葉くんのお母さん、遅いね……」

「うーん……」

ずずっとお茶をすする、2人。

「雅紀、お母さんに連絡した？」

「んー、さっきメールしたけど、まだ返事こない」

「電話は？」

「んー……仕事だったら出ないよ」

雅紀が少し躊躇するのは、母親を気遣ってのことなんだろう。

早い帰宅を促すような事はしたくないのだ。

だけど、明らかにいつもより帰りは遅い。

「俺、アイス買って来てやるよ」

「アイス！？」

「その間に雅紀もAも、風呂入っていいぞ」

「え、俺がAちゃんと一緒に？」

「「なんでだよ」」

お利口に留守番しててな、の問に

はーいと返事をした2人を残して財布片手に家を出る。

大通りまで歩いて、そこで空車のタクシーを探す。

路肩に止まったタクシーに、俺は乗り込んだ。

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