07話 いちいち、上から ページ8
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1年のうちで大好きだった行事は2つ。
1つはお正月。1つはお盆。
なぜなら、大勢いる親戚たちの一部が、この何もない町に集まるから。
この町の本家はA家。
分家に二宮家と、もう1つ、原田家がある。
じぃばぁが住む原田家は家も一番大きいから、
親戚一同そこに集まって、楽しい宴会が始まるんだ。
そしてそれはわたしが7つの時。
「潤くん！？大きくなったなぁ！いつぶりだ！？」
玄関先で、和くんの声が響いた。
照れくさそうに笑った潤くんのかわりに口を開いたのは、
おそらく潤くんのお父さん。
「ここへ来るのは潤の反抗期以来だから……9年ぶりだ」
潤くん、と呼ばれた人は、
和くんよりもずっと背が高くて大人っぽいのに
「うそ、そんなに経つの？そりゃぁこれだけでかくなるはずだ」
和くんはずいぶん、言う事が上から、だ。
潤くんと呼ばれた人も、少し怪訝な表情をして
和くんのことを一瞬チラリと盗み見る。
「和也さんもまぁ……大きくなったじゃないか(笑)」
「お前に言われると腹立つ。てか、お前も、これ……子供でも入ってんの？」
潤くんのお父さんの大きなお腹を
和くんはぺチンと叩く。
潤くんのお父さんは、
見た感じ40代後半の……いわゆるおじさん、なんだけど
「年取るとどうもね」
「それただのイイワケ。ちったぁ運動しろ」
だから、どうしてか、和くんは言う事が上から、だ。
その後も続々と親戚が集まって、
女性人は台所へ、男性人は大広間へと分かれて行くんだけど
和くんが話しに花を咲かす相手は、
いつだって年配者。
「お前さぁ、いつんなったら結婚すんの？んで独り身のくせに1人でここ来るっていうね(笑)」
「独り身だから1人でくるんでしょ、当たり前でしょ」
「彼女の一人でも連れて来いよ」
だから、和くんは、
「え？お前んとこのあのだらしねぇ息子、結婚したの？んで何でここにいねぇの？」
「嫁さんがイヤなんだと」
「ろくでもねぇーなぁー」
言う事がいちいち、
上から、だ。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
