36話 潤と智子 ページ37
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side和
「がーん。なんかすいません……」
「……かずくん、て呼ぶならいいですよ？Aもそう呼んでるし」
「か、かずくん、ですか？かわい過ぎやしませんか！？」
「じゃぁ、和也君？俺のほうが全然年下ですもんね」
「うっ……そ、そうね、わたしはオバサンよ……」
そう言ってわざとらしく肩を落とす雅子さんに、
俺はまた声をあげて笑う。
そんな俺の肩に、後ろから優しい手が添えられて
俺はその手を見てから、その手の主の方を見た。
「……潤、と、智子？」
「一人ぼっちで寂しがってるかと思って来たのに、楽しそうじゃん？」
潤はニヤリと笑ってきびすを返すと、智子を引き連れて
空いているパイプ椅子の列の合間を縫うように歩き、俺の隣に腰掛けた。
そして、俺を挟んで隣にいる雅子さんの方へ身を乗り出すと
「和の友人の松本です。こんにちは」と、
歯が見えるくらいにニッコリ笑って、軽く会釈した。
それに続いて、智子も。
そして雅子さんも姿勢を正して名前を告げると、会釈して笑う。
「何しに来たのアナタたち？」
「ひでぇ！俺はさておき智子にとったら、Aちゃん娘みたいなもんだろ？」
Aの入学式がもうすぐだって話しは、確かに智子にした。
その時に「いつ？」って聞かれたけど、まさか来るとは思わなかった。
あんなド田舎からじゃ、相当遠いよ？
「……って、もしかして智子、もうこっちで潤と暮らしてる？」
「まさか。まだあの家にいるよ？」
父さんと母さんがいるじゃん、そう言って智子が笑う。
一瞬だけ、潤くんが切ない顔をした気がする。
「……和也君のお友達、ハイソだねぇ〜」
「はい？」
「類は友を呼ぶんデスカ？」
雅子さんが外国人みたいな話し方をして、首を傾けた。
「大丈夫。潤くんは俺と同い年だけど、智子は雅子さん世代のオバサンだよ？」
「あ、ほんとですか？嬉しいー♪」
嬉しそうに小さく拍手する雅子さんに対して智子は、
「喜んでいいところなの？それ」
そう言って、ふにゃりと顔をほころばせる。
「雅子さん、は……和の……恋人？」
潤が嫌味っぽく俺に問い掛けてきた……
なんて事いうのこの子は。
しかもその言葉を聞いて、雅子さんは「へっ！！」って
声が裏返っちゃってる。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
