24話 夜の情事 ページ25
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まだ田舎にいた頃、
何度か和くんが……夜中、
隣の布団にいないことがあった。
なぜだろう、
わたしはまだ小さかったのに、
和くんが智子ちゃんのところにいるんだと
なんとなくわかっていて、
そしてそう思っていながら、
1人でぼろぼろに泣いたっけ。
どうしてあの時子供らしく、
和くんを探して外を彷徨うとか、
そういう事が出来なかったんだろう。
ただただひたすら痛みに耐えるみたいに、
布団の中で丸まって泣きはらして、
そしていつの間にか眠ってた。
次の日の朝、
何事もなかったかのように隣で眠っている和くんを見て、
無性に腹が立って、叩き起こしたりした。
「い゛っ！！っっっだぁーーー痛いよAっ！！」
「寝ぼすけ！！バカッ！！起きろ！！」
「ば、バカとはなんっ……分かった起きるから叩くな！！」
起き上がった和くんはわたしの目を見て、
「どうした？腫れてる……泣いたの？」って聞くけど
「……怖い夢、見たかも」
「……そう？平気？」
「……平気」
特別、言及もしない、心配もしない。
何でわたしの目がこんなに腫れてるか、
和くんは分かってたはず。
そうでしょ？
それでもそれ以上何も言わない和くんにまた腹が立ったし、
腹が立つのに何もいえない自分が、不思議で仕方なかったっけ。
思い切り飛びついたわたしを受け止めた和くんは、
んっ、と小さく声を漏らして、
そしてわたしを腕の中に収めると同時に、
深く息を吐き出した。
「……ずっと俺の傍にいて」
「うん、いる。ずっと一緒にいるよ」
和くんが、わたしを抱く腕に力を込めた。
何も知らない無邪気さと、
何かを抱えた、醜い欲望。
2つがグルグルと体内を駆け巡る。
それはとても、
恐ろしくて、心地いい……―――
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
