20話 一緒に生きよう ページ21
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side和
庭の花が枯れた時だって、
「枯れちゃったね……」って、
悲しそうにすることはあっても、泣いた事なんかなかったのに。
「うわぁぁぁっ、あぁぁぁああ……」
大声を上げて、嗚咽交じりに泣くAの声。
きっとこの花は、庭に咲く花とは違って。
Aが自分の手で育てたこの花は、
言うなればAの、大切な、我が子。
自分の分身だったんだ……
それを失って泣くAに、
掛けてやれる言葉も、してやれることも見つからずに、
俺はただただ、抱きしめる腕に、力を込める。
俺は、
こんな風に泣くAを、知ってる。
それはごく最近の、昔の話し……
その時もAは、嗚咽をもらして、叫びながら、
声にならない声をあげて、泣いていたっけ……
“ごめんなさい……ごめんなさい………和也さん……”
あの時の、
Aの声がフラッシュバックする。
「ごめっ……なさいっ……」
「…っえ？」
「うっ、ん………ごめ、なさいっ………」
胸の中のAが、押さえ切れない嗚咽と共に、
……あの時と同じ、謝罪の言葉を、口にした……
大切なものを失くすのは、悲しい。
それが自分の我が子なら、なおさらでしょう？
愛が深いほど、悲しみも深くて、
立ち直る事もできなかった、あの時……
「うっ、ふぇっ……えぇぇっ、……」
“ねぇ和也さん、一緒に、………―――”
一緒に、いきましょう。
そう言った彼女に……
あの日の俺は
頷いたんだ――――
でももう、大丈夫。
今度は、大丈夫。
今ならもう、はっきりと言える。
「大丈夫だよ……俺が傍にいるからね」
君と一緒に逝くよりも、
君と一緒に生きたいと。
今ならはっきり、言えるから。
いつまでもいつまでも、止まない涙に、
今、俺がしてやれる事は、
ただ抱きしめて、ここにある温もりを、
Aに与えてやる事だけだ。
どんなに悲しいことがあったって、
今度は、一緒に生きましょうと、
俺が、
言ってあげるからね。
・
お花を枯らして涙を零す娘さんのエピソードを、
まつもん様からいただきました。 Thank you！
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
