父と、結婚指輪と、私。【N.K】 (ページ3)

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02話　永遠の2番ページ3

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わたしと父が暮らしていたこの町に、

幼稚園とか保育園とかいうものが存在するはずもなく、

わたしはいつも智子ちゃんの家でお留守番をしていて。

その日も智子ちゃんの家の居間の

座布団の上で昼寝をしていた。

目を覚ますと、

襖の向こうの向こうに見える台所に

父と、智子ちゃんがいるのが見えた。

和くん、かえってきた……

そう思って寝ぼけ眼でもそもそと起き上がろうとした時、

突然智子ちゃんが……父の頬を叩いた。

ビックリして、固まるわたし。

「Aがいるくせに、何考えてんの！？」

智子ちゃんが、そう叫ぶと

父は気だるそうに声を出す。

「……お前こそ何考えてるの？お前は俺にとって永遠の2番、

それを前提に、話してるんですけど？それともじいさんは気持ち悪いですか？」

父が不敵に笑った顔は、

恐ろしくも、綺麗で。

父の言葉の意味を、もちろん理解なんて出来ない。

だけど、智子ちゃんに酷い事を言っているのは、分かった。

だって智子ちゃんは、

今にも泣き出しそうな顔をして、どこかに走って行ってしまったから。

誰もいなくなった台所で、父が大きな溜め息をついた。

「……かずくん」

わたしの声を聞いて、父がぱっとわたしの方を向く。

わたしの名前を呼んで、嬉しそうに笑う父が

「起きたの？おはよう」

そう言って、わたしをぎゅーーーっと抱きしめる。

そこから、たくさんの愛情が流れ込んでくるのと同時に

鳥肌が立つほど、寒気がしたのも、事実だ。

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