15話 和也の嫁さん ページ16
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side潤
「和也、さぁ」
「はぁ………はいはい？」
呼吸を整えてから、和也が返事をする。
この町にきて、まだ24時間すら経過してない程度だけど
その短い時間の中だけで、見ていて分かったことはある。
「智子さんが、和也の嫁さん？」
「あぁ、智子？」
甲斐甲斐しく、とまではいかないけど
何かと和也のことを気に掛けて、世話を焼き、
そして和也も、
何かあれば「智子」とその名を呼んで、
彼女を頼りにしていた。
だから和也にそう質問をしたけど、
ただ、気になるのは、
智子さんの指には、
和也とお揃いの、結婚指輪がないということ。
俺からの質問を受けて、
和也は、ふぅーーーっと大きく息を吐き、
両手を腰に当てて背筋を伸ばすと、
「あの子は、俺の永遠の2番、かな」
と、真っ直ぐ前を見たまま、そう答えた。
「……それって、……それって……」
そんな風に言われたら、聞いたことを後悔する……
「……智子さんとは、結婚しないってこと？」
「そりゃぁね。だってあの子は2番なんだもん」
「……なんか、それってどうなの……」
「どうなのって聞かれてもなぁ……」
つまりは、
和也の娘の母親は、智子さんではないってことで、
「1番に想う人がいるんだから、しょうがないじゃん？」
和也の家は、父子家庭だってことで。
そして、つまり、それは……
そういえば和也の娘だって、
智子さんよりも全然、和也にひっついているばっかりだったな。
「しょうがないじゃん？」
そう言って腕組みをして、
俺を見上げてくすっと笑う和也の左腕が
俺の視界に入った。
和也の一番が誰なのか。
その答えはきっと、
その左手の、薬指にある。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
