14話 墓参り ページ15
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side潤
お盆というだけあって、山の中腹にある墓地へ
墓参りなんかに行く。
足腰に自信のないじじばばやら、
プールではしゃぐ子供達やら、
その子供達のお守り役の母親達を家に残して、
若者達(といっても平均年齢40越え)だけで墓地を目指す。
そういえば9年前までも、
父親にくっついて面白半分に山登りもとい……
墓参りに参加したっけ。
なんで田舎って、山の上にお墓があるんだろ。
整備なんかされてないただの斜面を、
木に掴まりながら登っていくのは結構大変。
おじさん達も「はぁー」だの「ふぅー」だの言いながら、
重い身体を、なんとか上へと運んでいく。
これが夏だから……また厄介なんだよね。
「……あぁー疲れる……」
誰に言うでもなくポツリと呟いた俺の言葉に
反応した和也が「頑張れ、都会のもやしっこ」って
俺のケツを叩く。
「もやしではねぇ。最低でもお前よりは絶対にもやしではねぇ」
「言えてる。だって今おまえのケツ硬かったもん」
それ今、山登ってるからだろ？
そう思ったけどそれ以上話す気にはなれなくて、
また無言でひたすら墓地を目指す。
その時、
「きゃっ」
女の人の小さな悲鳴が聞こえて後ろを振り返ると
和也も後ろを振り返っていて、
「大丈夫か？」って、
悲鳴を上げた声の主に、自分の右手を差し出していた。
「ほら、掴まりな」
「うん、ごめん……」
「俺の前歩け。落ちたら困る」
「ん」
握った手を強く引いて、その身体を抱いて、
そして自分の前に押しやる和也に従って、
俺のすぐ後ろに来たのは、智子さん。
俺と和也の8つ年上のおばさんのはずなのに、
童顔で、美人で、柔らかい空気を纏った素敵な女性。
そして、多分……
目的の墓地へ着くと、
手入れの行き届いていない墓の為にと、
早速せかせか動き出す人と、
山登りで得た疲れを逃がすために、
その場でひぃひぃ立ち止まってる人とに分かれて、
「大丈夫？」
「うん、平気」
智子さんは、ぱたぱたと墓地へ向かって走り去り、
和也はその場に立ち止まって「ふぃ―――」っと息を吐き出した。
俺も、和也の横に並んで、
身体を休ませんのを優先させる。
罰当たりかもだけど、
ここにある墓のどれも、
誰のなのか、よく知らないしね。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年5月8日 2時
