父と、結婚指輪と、私。【N.K】 (ページ2)

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01話　ずっと傍にいてくれる？ページ2

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わたしの一番古い記憶は、

恐らく3歳……か、4歳の頃。

自分でも自覚しているくらい、わたしは父に溺愛されていて

「Aーーー♡好きーーー♡」

って、よーくわたしを抱きしめてくれる父がいたことを覚えてる。

「Aもかずくん好きー♡」

「ほんと？俺のこと好き？」

「うん、好きー、だぁーい好きっ♡」

このやりとりだって、何百回したか分からない。

だけど、

1度だけ、父が悲しい顔をして、

「……じゃぁ、ずっと傍にいてくれる？」と、

訊ねてきた事があった。

もちろん当時のわたしは

「いるーずっと一緒！」って無邪気に返事をするんだけど、

父はそれを聞いても、浮かない顔をして、

それどころか、その目は、

少し、潤んでいたようにも思う。

「……いつまで、そう言っててくれるかな」

現実はそうはいかない。

だっていつかは、お嫁に行くもん、わたし。

「ねぇ、早く思い出してよ、俺のこと……」

例えわたしと和くんが、

過去に愛し合っていたんだとしても。

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