05 ページ9
それが、カウンターの一番端に座っていた辰実だった。
辰「こっち。」
そう言って辰実が手招きするので、俺は女性の手を振り払うと、
慌てて辰実の傍へ駆け寄り、隣の椅子に腰掛けた。
すると先ほどの女性もこちらに近付いてきて、俺へと手を伸ばすのが分かった。
さすがのしつこさに、恐怖心よりも先に苛立ちが募り
キツめに言ってやるべきかと、声を出そうとした瞬間だった。
辰「触んなよ。」
辰実の低い声が響いて、女性がピクリと身体を震わせ動きを止めた。
辰「迷惑なんだよ。」
恐ろしく低い声で放たれた言葉に、俺まで身震いした。
すると女性はすぐにその場を離れて、店を飛び出していってしまった。
店内の誰もがほっと胸をなで下ろし、また自分たちの時間に戻る。
俺は改めて辰実の方を見た。
翔「こわ……(笑)」
辰「ふふっ(笑)」
翔「ありがとうございます。助かりました。」
そう言って俺が頭を下げると、
辰「ごめん。呼び捨てにして。」
と、俺の礼に対する返事もしないで、辰実は謝罪の言葉を述べる。
俺が、
そんな事はちっとも気にしていないと言ったところで、
また辰実が真顔で口を開いた。
辰「もうどっか行けば。」
・
翔「俺はその瞬間キューン☆としたね。」
そう言って身体をキュッと縮めると、
由希ちゃんも真似してキューン☆と言いながらキュッと身体を縮こまらせる。
そしてまたそれを真似するAさん(笑)
ぶっきらぼうに目も合わさずに吐かれたその言葉は、一見するととても冷たいが、
俺が気を遣ったりしないように、
恩を返そうとなんかしないように、
俺のことを考えての言葉なんだとすぐに分かった。
翔「もうハート鷲掴みね。惚れちゃったもん。」
辰「いや、本当にどっか行けよと思っただけなんですけど。」
翔「嘘でしょっ!?」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 269人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年2月23日 17時
