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翔「こんな暗い道、歩いて駅まで向かうなんて危ないから送る。
あ、でもまずレストランに向かってから、駅ね？」
そう言って俺は半ば強引にAさんの事もタクシーに押し込んだ。
送る、とかカッコつけたこと言ってるけど、
送ってくれるのはタクシーの運転手さんだけどね！
由希「翔くんに会えてよかった！」
翔「会いたいと思ってくれてたの？」
由希「うん！由希もママも、ずーっと翔くんに会いたいと思ってたのー♪」
A「えっ」
えっ
ママも？
3人並んで座ったぎゅうぎゅうの降雨座席で、
由希ちゃんの言葉を聞いて、Aさんが固まる。
タクシーに押し込めた順番的に、由希ちゃん、Aさん、俺の順に座っているので、
すぐ横を向けばAさんの顔。
車内は暗くて顔色までは伺えなかったけど、明らかに照れて動揺しているのが分かった。
A「や、だって、招待してくれたの、翔さんだから……」
そう言って顔を逸らし、見ないでと言わんばかりに両手で俺の視界を遮るAさん。
うわ……
やばい。
たったこれだけの事で、舞い上がりそうになってる、俺。
ただ、照れてるだけで、そこにはなんの意図もないって、分かってるのに。
翔「いいじゃん、照れなくても。」
そう言って隣にあるAさんの手を握る。
突然触れられて、彼女がピクリと反応したが、
俺は構わずに掴んだその手を、自分の方へ引き寄せた。
翔「この間のランチは、ごめん。なにか誤解、させたかな？」
するりと逃げようとする彼女の手を、逃がさないように強く握りしめる。
翔「距離を置かれたと思ったんだよね？あの言い方、あれって……」
A「わわわたしの方こそ、ごめんなさい！
意地悪な言い方してっ、あの、あの、いいから、手っっ!!」
翔「いいから、このままで。」
両手で彼女の手を包み込み、彼女をじっと見つめると
ひぃぃぃー……と謎の擬音を発生させて思い切り顔を逸らされた。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年2月23日 17時
