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翔「あ、そこを右に曲がって下さい。」
住宅街の中にひっそりと佇むレストランて事で、タクシーの運転手も場所を知らなかった。
俺も初めて来る場所なので、スマホのナビを見ながら道案内をする。
こんな日に限ってやっぱり少し仕事が押して。
とは言っても時間きっちりに行かなければならないわけではないので、
特に気にしていなかったんだけど。
だけど、
やっぱり気持ちは急いていた。
主催者の友人には申し訳ないが、俺の目的は完全に別のところにあるから。
翔「……と、そこをじゃぁ左に……」
そう言って顔を上げた瞬間に意外なものが目に飛び込んできて、
翔「あっ、止めて下さい！！」
咄嗟に声を張り上げて、タクシーを止めていた。
タクシーにその場で待っていてもらい、慌ててドアを開けて外に出る。
翔「Aさん！」
突然名前を呼ばれたAさんは飛び上がりそうなほど驚いて、
守るように由希ちゃんを抱き寄せる。
A「……あ、翔さん？」
俺だと気付いたAさんが、
由希ちゃんを抱き寄せる腕を緩めたのが分かった。
由希「翔くーん！」
翔「由希ちゃん！」
由希ちゃんも俺に気付いて走り寄って来る。
俺は屈んで由希ちゃんを待ち構えると、由希ちゃんは勢いよく俺の胸に飛び込んできた。
由希「翔くん、遅いよ〜！」
翔「ごめん！由希ちゃん久しぶりだね〜！」
ゆっくりこちらに歩いてきたAさんを見上げると、彼女は軽く頭を下げ
お疲れ様ですと一言。
翔「とりあえず2人ともタクシー乗って！」
A「えっ、わたしたちもう、」
翔「いいからいいから！」
Aさんの訴えは無視。
脚に飛びついてきた由希ちゃんをタクシーの中に押し込める。
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年2月23日 17時
