温かい家～sweet home～【S.S】 (ページ44)

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第7話　ごめんね、それから…01 ページ44

〈Aside〉

翔さんに軽く挨拶をしたら帰ろうと思っていた。

由希とたつくんと3人でやってきたこの場所に、まだ翔さんは来ていない。

招待されて来た場所は、住宅街の奥にひっそりと佇む隠れ家のようなレストラン。

きちんと名簿が用意されていて、予め出席者としてわたしたちの名前も掲載されていた。

どうやら今回の誕生日パーティは、祝われる方のご結婚に合わせて行われたパーティのようで、

旦那様となる方がサプライズで企画したものとの事だった。

立食形式で開かれたこのパーティの出席者は、ざっと見積もっても50人以上はいると思う。

わたしたち3人は少し遅れて行ったので、

もうすでにレストラン内はBGMと談笑する人たちの声でいっぱい。

入り口の受付で名簿のチェックをされた時、

まだ印の付いていない名前がいくつもあったから、人数はまだ増えるみたい。

辰「会費も払ったことだし、とりあえず食べよっか。」

たつくんに言われて、わたしと由希は夕食を済ませる事にする。

他にも子供連れの方はいたけど、やっぱり知らない人しかいないこの空間は慣れない。

なぜ翔さんからの誘いにのったのかと聞かれたら……

なんだか一生懸命だったから。

距離を置かれたんだと思い込んでいただけに、

あの時のあの必死に訴えかけてくる彼の声に安堵する自分がいて。

手を差し出されたあの日の、自分の言った事には後悔していた。

言い訳をするならば、極度の人見知りで他人と距離を縮めるのに時間のかかるわたしが

なぜか翔さんと初めて会ったあの日。

自分の家に招きいれた事が要因かもしれないけど、嘘みたいに普通でいられた。

だからこそ、急に縮まった距離が、あの一瞬の出来事で「やっぱり間違えた」と思ったら

途端に怖くなったし、悲しくなった。

しかも、芸能人……

だから、やっぱり勘違いだったのなら、また初めて会ったあの日みたいな

温かい貴方に会いたくて。