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〈Aside〉
御母さんが帰って由希の傍へ行って、
今度こそベッドルームを目指す。
由希「おばあちゃん？」
A「うん。」
由希「いやなこと言われたの？」
A「ふふっ、由希は心配しなくて大丈夫。」
由希に、この手の話題をしたことはない。
する必要がなかったし、したいとも思わない。
“次を考えなきゃ、ね？”
A「ねぇ、由希。」
由希「んー？」
ベッドに潜り込んで、由希に話しかける。
A「由希は、このお家好き？」
由希「うん、好きー。」
A「ずっといたいと思う？」
由希「ずっと？」
A「……どこか別のところに、行きたいと思う？」
由希「べつのところ・・・？」
初めて、私は由希に家のことについて尋ねてみた。
由希「べつのところ？どこかとおく？」
A「そうだね、例えば遠くとか。」
由希「たーくんがいる、とおく！？」
A「え？」
由希「たーくんいっつもとおくからくるってママ言ってるもん、
由希もたーくんがいるとおくに行きたい！」
……はっとした。
この家にこだわっていたのは、私だけだった……。
そりゃ、そうだ。
仏壇の中の父親しか知らない由希。
仏壇の中の彼が私達の為に建ててくれた家だからって、
その事が由希にとって何の価値があるんだろう。
由希は未来を生きている。
でも、それは当たり前だ。それが、普通なんだ……
“次を考えなきゃ、ね？”
御母さんの言った言葉が、素直にわたしの胸に届いた。
*.....*.....
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作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年2月23日 17時
