温かい家～sweet home～【S.S】 (ページ14)

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何となく、沈黙が続いた後

A「洗い物、してきちゃいますね。」

と言ってAさんが立ち上がった。

翔「俺も手伝います！」

そう言って俺がテーブルのグラスをお盆に乗せ立ち上がると

A「いいですいいです！お客さんなんですから！」

と、彼女は俺の持つお盆を自分も一緒になって掴んだ。

彼女が自分の方にお盆を引き寄せようとするのを、力を込めて止めて、

彼女も力を込めてお盆を引き寄せようとして……

彼女は俺を見上げた。

また少しの沈黙が訪れて、

少し……少しだけほわわんとした桃色の雰囲気が漂いそうになった瞬間

A「イケてるメンズだなぁー。」

そんな事を言いながら、彼女がしげしげと俺の顔を覗き込み始めた。

翔「えっ」

さっきまでの空気が一気にほどけたことで呆気に取られて、俺がお盆を持つ手を緩めると、

彼女はすぐにくいっとお盆を自分の方に引き寄せ、キッチンへと掛けて行く。

A「ゆっくりしてて下さいねー。」

Aさんはキッチンから俺に向かってそう声をかけると、

立ち尽くして後ろを振り返る俺を見て、ふふふと堪えるようにして笑った。