09 ページ13
リビングに戻ってソファに腰掛けると、
俺はテーブルいっぱいに散らばった画用紙とクレヨンをかき集め、
画用紙は一束に、クレヨンは箱の中に納めた。
するとお盆にお茶を乗せたAさんがこちらにやってきて、
俺の右斜め前の床に腰を下ろした。
A「どちらがいいですか？」
お盆の上には湯のみに入った温かいお茶と、グラスに入った冷たいお茶が乗っていて
翔「じゃぁ、こっちで。」
とグラスの方を手にとると
「やっぱりー？」と言って彼女が笑った。
バスルームでは相変わらず、由希ちゃんのはしゃぐ声が聞こえる。
翔「Aさんはさ、」
湯のみを両手に包んでふーっと息を吹きかけていたAさんが
「ん？」と声をあげ俺を見上げた。
翔「辰実と、付き合ってるの？」
この時なぜか俺は、少し緊張していて
それををごまかすみたいに、グラスに入った冷たいお茶をぐいっと一気に飲みほすと
喉は用意されてた音声みたいに「ゴクゴクゴクッ」と綺麗な音を立てた。
身体の中心を、冷たいお茶が通り過ぎていく。
A「付き合ってないですよ。」
……そっか、そうだよな。
辰実も、そう言ってたし……
Aさんがふふっと笑いながら言った言葉を聞いて……
……俺は少し安堵した。
A「付き合いが長いからそう見えるのかな？」
照れる様子もなくAさんはそう言うと、
またお茶にふーっと息を吹きかける。
また少し緊張しながら「好きじゃないの？」と問いかけると、
「え？好きだよ？」と即答された。
あんまり普通に、しれっと言ってのけるから
俺は目が点になって「えっ」っと上ずった声をあげるけど
A「好きだけど……恋愛とかとはちがくてね？……兄弟、みたいな感じかなぁ。」
と言って、Aさんは自分に「そうだよね？」と言い聞かせるみたいに
眉間にしわを寄せながら天井を見上げていた。
……何で聞いちゃったんだろ、俺。
辰実からちゃんと、友達だって聞いてたのに。
もしもAさんが照れたように笑って、
言いにくそうに口ごもったりしたら……って……いや、でも
辰実が友達と思っていても、相手もそうだとは限らない。
だから、ちゃんと聞かなきゃって、あれ？いや、なんで……
だから……
なんで、聞きたくなったんだろう。
Aさんの気持ち。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 269人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あひる x他1人
作成日時：2015年2月23日 17時
