温かい家～sweet home～【S.S】 (ページ12)

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翔「よっ」

トランクを開けて、辰実の着替えが入ったバッグを手に取る。

外の冷たさが心地良い。

家の中に入る前に、何となくこの家全体を見上げてみた。

リビングの暖かい光が、窓からもれている。

静かに耳を済ませてみれば、

バスルームではしゃぐ由希ちゃんの声が聞こえた。

暖色系のライト

湯気の立ち上る鍋

子供の笑い声

そして

暖かい笑顔

さっきまで起こっていた事を思い返すと

自然と顔がほころんだ。

バッグを肩に担いでゆったりと歩きながら、玄関の戸を開けた。

それなりに時間を掛けて戻ってきたのに

玄関口にはAさんが立っていた。

A「おかえりなさい。」

彼女の声を聞いて、自然とただいまの声が出る。

差し出された両手に、辰実のバッグを差し出す。

A「ありがとう。」

受け取ったバッグを手に、Aさんはバスルームへと掛けていった。

俺が戻るまで玄関先で待っていたのか……。

俺は

おかえりと、

ありがとうの顔を思い出して

胸の中が、ほっこりとするのを感じた。