正しくなれない【青】

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深澤くんの言葉が頭の中をぐるぐるしている。
考えれば考えるほど、めまいがしそう。


こんなときは、考えても仕方ないことは考えない、それに尽きる。









『……あ、』







グラウンドの方をぼんやり見ていると、校門を颯爽と走る渡辺くんが見えた。
距離があるからはっきりとした表情は見えないけど、さっきまでの様子とは全然違う。




きっと、咲良さんとうまくいったんだ。
ちゃんと自分の思いを伝えて、やり直すことにしたんだ。


これで、いいじゃないか。よかったじゃないか、Aよ。






『っ………、ふっ…』






正しくない行いをしなくて済むじゃないか、と誰かが言う。でも、自分の気持ちに素直に従うならば、好きという感情をやめるという考えそのものが正しくない行いだ、ともう1人の誰かが言う。




ぐちゃぐちゃな思考回路のまま、机に向かってパソコンを開く。
渡辺くんを気になっている、いや好きになりかけている私とは、今日でお別れしよう。もう今日でおしまいにしよう。





そうすれば、渡辺くんを見て苦しいと思う感情がなくなるかもしれない。

そして、深澤くんや目黒くんにもはっきりと、ごめんなさいと伝えることができるのではないだろうか。



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目黒「お、しょっぴー」

深澤「なべ！どこ行ってたんだよ！！」

「ちょっとそこまで！」

岩本「説明が短いな」






咲良に会ってきた、といえば目をまんまるにする3人。そんな驚くこと…？








深澤「咲良さんとやり直すの？」

「まさか。ちゃんと断ったよ」

目黒「しょっぴー断るためにわざわざ会いに行ったの？」

「だって会わないと話進まないじゃん」

岩本「にしてもすごい行動力だな」







学校に戻ってきた、ほんとはすぐにAちゃんに会って、八つ当たりしてごめんって謝りたい。

あんなこと言ってごめんねって。





「俺Aちゃんのところ行ってこないと」

岩本「先に授業受けろよ。笑」




？「おー、渡辺。お前に良いものやるから早く教室来い」

「げっ、田中！」





お前いい根性してんな〜と、田中に手招きされる。
これは終わったわ、絶対に補習。




田中「今日ここまで終わらせないと帰さないからな」

「…………はい」







にっこり笑う田中を今日だけは恨む。
まじで俺のこの気持ちの高まり返して。


今すぐAちゃんに会いたいのに。





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