正しくなれない【青】

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翔太side





いつも退屈な校長の話がいつもより短くて楽だった。
となりのふっかは寝てる。しかも立ちながら。
やっぱ器用すぎる、ふっか。



今日の始業式は最強だな〜なんて思って、ちらっと横目で教師陣を見る。




いや１人めっちゃ綺麗なのよ。そりゃ、もう、すっごく。
ふっかとか寝てるけど、起きてたら絶対騒ぐと思う。




『はじめまして。本日から着任した養護教諭の向井Aです。』




俺が気になっていた先生の番が来て、マイク越しに声を聞く。
優しい声。落ち着く声。笑うとちょっとえくぼが出る。


「向井」っていう名字が引っかかって、２年生の列を見る。






「…やっぱり。」






康二と目黒がステージを指さしてしゃべってる。
康二に関しては、手を振ってる。普通に無視されてるけど。







「康二、あの新しい先生、女の。康二の知り合い？」

康二「んあ！？しょっぴ、もう気付いたの！？」

「いいから。そうなの？違うの？」

康二「も〜、後からちゃんと言おう思うててんけどな、」

目黒「Aちゃんじゃん。俺らの学校だったんだ」

「はっ？お前知ってんの？」

目黒「まぁね。しょっぴーには内緒」

康二「めめ！？ほえ、えっ、」

「は、おま！待てよ！おい！康二！！目黒〜！」





気になって仕方ないから康二に話しかけたのに、目黒にはぐらかされた。
しかもそのまま体育館から教室へ戻っていった。俺先輩なのに。




「…っ、！！！」




溜息をついて、また教師陣の方へ視線をずらす。


たまたまかもしんないけど、Aちゃんが笑ってた。こっち見て。




深澤「おーい、翔太ー？口開いてるよ？閉じる？」

岩本「どういう状況？翔太どこ見てんの？」



ふっかと照の声が聞こえて現実に戻ってきた。
でも目はAちゃんを追ってる。



「なんか俺、今めっちゃ幸せ」

「「 は？？？ 」」



２人とも本当ごめん。今語彙力ないから説明できない。
でもちゃんといつか説明する。



「もうとにかく幸せな気持ちなの」



Aちゃんを見て、心があったかくなったよ、っていう話。


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