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ひと通り話を終えたあと、執事さんはどこかへ消えてしまった。
話相手がいなくなって、することもなくなってしまった。と思った矢先に、誰かの声が聞こえた。
「おーい!!誰かいますかーー!?」
助けが来たのだと思って、声がした方向を見た。どきん、とした。声の主は、わたしのもう1人の幼馴染だった。
「おーい…って、A!!?こんなとこにいたの!?」
『ぺん…ちゃん…。』
よかった、と思った。彼は、ぺんちゃんは、何も変わらないように見えた。
「わ、わ、なんで泣くの!!?俺なんかした!!!?」
『…うう、ん、泣いてない、なんでもないの、ぺんちゃん…ッ』
「いやどう見ても泣いてるじゃん!!なに、アイツに泣かされた!!?」
ぺんちゃんは、私をよしよし、と撫でてくれた。どうしたの、と聞いてくれた。安心した。ほんとうに。いつもの優しいぺんちゃんだった。
『ぅえ…ぇぐっ、らぁくんが、らぁくんが……ッ…』
「…やっぱりか」
え、と思った。そういえばさっき、ぺんちゃんは「“アイツ”に泣かされたの?」って、言っていた。まさか、ぺんちゃんもらぁくんに会ったのだろうか。
「俺もさっき、らっだぁに追っかけられたんだよ。みんな散り散りになって逃げて、それで…Aのこと、探してたんだよ!!」
『…探して、くれてたの?』
「当たり前だろ!俺らは“幼馴染”で“親友”だろ?」
『…そっか、そっ、か…ッ。ありがとう、ほんと、ほんとにありがとう、ぺんちゃん…。』
「泣くなって!大丈夫か?なんか痛いところないか?」
『無い、よ。ありがとお、ぺんちゃん…!!』
「だいじょうぶだよ、A。…そんでさ、らっだぁの話なんだけど。あいつ、なんか呪いに巻き込まれてるっぽいんだよね。だから…、だから、追っかけられて怖かったと思うけど、あいつを、らっだぁを、助けるの、手伝ってくれない、…?」
今のらぁくんは可笑しい。怖い、けど_____
『手伝う。手伝わせて、ぺんちゃん…!』
そんなことは、断る理由になんてならない。
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てぃー(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!!!これは何度でも言わせていただくんですがこれはそのうちリメイクするので、そこで(できれば)刑事にも救いを……と思っております。ふたりの行く末を何度も見返してもらえて本当に嬉しいです。ありがとうございました!! (3月10日 15時) (レス) id: c618f910d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 完結おめでとうございます!!!もう猿山君と夢主ちゃんが幸せそうで嬉しいです。天野刑事の気持ちを考えると凄く辛かっただろうから天野刑事にも幸せになってほしい!!また見返しにきます。その前にもう一度読み返そ...(3回目) (3月10日 12時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
えびてぃー(プロフ) - 葵斗さん» 返信遅くなって大変申し訳ありません、ほんとに嬉しいコメントありがとうございます!あまりに拙く、詰めの甘い話ですが、そこまで暖かい評価をいただけて本当に嬉しいです。この作品はそのうちリメイクするので本当にモチベ上がりますご愛読ありがとうございました! (2月28日 12時) (レス) id: c618f910d2 (このIDを非表示/違反報告)
葵斗 - えびてぃーさんの執筆は終わってしまいましたが、これからもふとした時に読ませていただきたく存じます。(^ら^) (2月26日 19時) (レス) id: 6f83c28ab3 (このIDを非表示/違反報告)
葵斗 - 完走おめでとうございます!この作品を執筆中に読めなかった事を本気で悔やむレベルの素敵な作品でした。猿山君のことが大好きで、いつも猿山君に救われていた。そんな夢主ちゃんの猿山に拒絶された時の気持ちが深く伝わってきて思わず泣いてしまいました。 (2月26日 19時) (レス) @page24 id: 6f83c28ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てぃー | 作成日時:2024年1月10日 19時