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「………ないだろ」
「…信じられるわけ、ないだろ」
「おれにとってのおまえなんて、そんなもんなんだよ。そう、そうなんだよ。だから、もうおれなんかに関わらなくていいよ、おまえにはどうにもできないんだよ、もう辛いんだよ、お願いだから、もう____放っておいてくれよ…ッ」
喉の奥からしぼりだしたような声だった。そうだった。忘れていたかったけど、もう忘れてはいられないみたいだ。らぁくんに否定された、このときのわたしは、
『…………わかった、いままでごめんなさい、ありがと、らぁくん…っ』
“わたし”が、走って公園から出ていった。
「………あ、っ、……………」
“わたし”は、この日から、らぁくんに関わることをやめてしまった。“わたし”にはそうすることしかできなかった。いつも一番の味方でいてくれた“きみ”に否定されて、辛くて苦しくて、そして“きみ”になにもしてあげられない自分が憎くてしょうがなかった。
“きみ”の顔が悲痛に歪む。おそらくわたしを引き留めようとしたであろう手が空振る。…どうしてそんな辛そうな顔をするんだろう、と思った。“きみ”はなにも悪くなかったのに、…
視界がゆがむ。また場面が移り変わるのだろうか。どうしてわたしは過去を見ているのだろう。最初のはともかく、今のは完全に思い出したくなかった過去だ。忘れてしまいたかった過去だ。…歪んだ視界が元に戻ってきた。次はなにを見せられるのだろ「A!!!!!!」
「A!!やっと目覚めたか…!!!」
『ぺん…ちゃん?』
「も〜〜ビックリしたわ!!Aが急に倒れるからみんな焦って、とりあえず保健室で寝かせておいたんだよ!!…………それで、えっと、らっだぁのこと、なんだけど……」
ちがう。これは過去じゃない。戻ってきたんだろう。…あれ?みんなは?______らぁくんは?
「…その、らっだぁは、“鬼”、ってヤツになってて、呪われてて、俺たちは、らっだぁを封印しないとここから出られないって、言われて、…………え、っと…」
「…“封印”、したんだ。ここはいつも通りの世界で、現実で、みんなはもう家に帰した。…ごめん、おれ、らっだぁ、救えなかった…ッ、っう、っ………」
言葉が出ない。嘘でしょ、冗談だよね、って言いたいけど、言えなかった。ぺんちゃんが泣いている。
『……………………』
「ごめん、ほんとにごめん、A……ッ」
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てぃー(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!!!これは何度でも言わせていただくんですがこれはそのうちリメイクするので、そこで(できれば)刑事にも救いを……と思っております。ふたりの行く末を何度も見返してもらえて本当に嬉しいです。ありがとうございました!! (3月10日 15時) (レス) id: c618f910d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 完結おめでとうございます!!!もう猿山君と夢主ちゃんが幸せそうで嬉しいです。天野刑事の気持ちを考えると凄く辛かっただろうから天野刑事にも幸せになってほしい!!また見返しにきます。その前にもう一度読み返そ...(3回目) (3月10日 12時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
えびてぃー(プロフ) - 葵斗さん» 返信遅くなって大変申し訳ありません、ほんとに嬉しいコメントありがとうございます!あまりに拙く、詰めの甘い話ですが、そこまで暖かい評価をいただけて本当に嬉しいです。この作品はそのうちリメイクするので本当にモチベ上がりますご愛読ありがとうございました! (2月28日 12時) (レス) id: c618f910d2 (このIDを非表示/違反報告)
葵斗 - えびてぃーさんの執筆は終わってしまいましたが、これからもふとした時に読ませていただきたく存じます。(^ら^) (2月26日 19時) (レス) id: 6f83c28ab3 (このIDを非表示/違反報告)
葵斗 - 完走おめでとうございます!この作品を執筆中に読めなかった事を本気で悔やむレベルの素敵な作品でした。猿山君のことが大好きで、いつも猿山君に救われていた。そんな夢主ちゃんの猿山に拒絶された時の気持ちが深く伝わってきて思わず泣いてしまいました。 (2月26日 19時) (レス) @page24 id: 6f83c28ab3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:てぃー | 作成日時:2024年1月10日 19時