−1 ページ12
う“、っ、ひぐっ、ぅ、うわぁあぁあ______
誰かの泣き声が聞こえる。誰の声?ここ、ここは、どこ?
「そんなに泣くなよ、A」
『うぇ、ぅ、ぅあ……ッ……らぁく…っ、うわぁああああぁああん!!!!!!』
「あーあーあー止まんねぇ…………」
ちがう、あれ、昔のわたしだ。中学校入りたてくらいのときの、わたしだ。ここはたぶん、近所にあった公園で_____らぁくんとの、思い出がいっぱいつまった場所だ。
「第一なんでそんな泣いてんだお前…」
『だってえ、だってぇ………っ』
「おーうおうおうこの優しいらっだぁ様に言ってみろ』
『…ぅ、おかあさまもおとうさまも、みんな、わたしなんかいらないって…っ』
「…なんで?」
『テスト、また、満点とれなくて、それで…っう、ぇ、ぅあぁあっ…』
「……落ち着いて、A。大丈夫だから。俺は怒ったりなんてしないよ」
『うん…ッ、うん、ありがとぉ、らぁくん…それで、それでね……』
「…うん、それで?」
『…“こんなこともできないのか、お前は本当に成長しないな、本当に結代の次期当主である自覚があるのか、猿山家の次期当主様を見習えって、結代の当主として相応しくない人間などこの家にはいらない”って…っ』
「…………………」
『…っあ、ごめん、ごめんなさい…!!こんな話、らぁくんにするべきじゃないのに、嫌な気持ちになったよね、ごめんなさい、ごめんなさ_____「それ、やめない?」…え?』
「俺は、___おれも、同じようなこと、親からよく言われるよ。“支配者になれない貴様など猿山の血筋には相応しくない”…ってな。Aのその話も、聞いてて気分がいいわけじゃない。いいわけじゃない、けど…。」
『…、っうん…』
「おれは、Aに話してもらえて、うれしかったよ。最低だ、最低だけど、_____自分だけじゃなかったんだ、って、思ったよ。だからAは、なんにも謝らなくていい。謝るべきなのは、おれなんだよ。……ごめん、ごめんな、A。」
「おれは、…もうそういうの、慣れたけど。お前は、Aは違うんだろ。悲しかったら泣けばいい。辛かったら助けを呼べばいい。……全部をなんとかしてやることはできないけど、おれはAのそばにいるよ。」
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てぃー(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!!!これは何度でも言わせていただくんですがこれはそのうちリメイクするので、そこで(できれば)刑事にも救いを……と思っております。ふたりの行く末を何度も見返してもらえて本当に嬉しいです。ありがとうございました!! (3月10日 15時) (レス) id: c618f910d2 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 完結おめでとうございます!!!もう猿山君と夢主ちゃんが幸せそうで嬉しいです。天野刑事の気持ちを考えると凄く辛かっただろうから天野刑事にも幸せになってほしい!!また見返しにきます。その前にもう一度読み返そ...(3回目) (3月10日 12時) (レス) id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
えびてぃー(プロフ) - 葵斗さん» 返信遅くなって大変申し訳ありません、ほんとに嬉しいコメントありがとうございます!あまりに拙く、詰めの甘い話ですが、そこまで暖かい評価をいただけて本当に嬉しいです。この作品はそのうちリメイクするので本当にモチベ上がりますご愛読ありがとうございました! (2月28日 12時) (レス) id: c618f910d2 (このIDを非表示/違反報告)
葵斗 - えびてぃーさんの執筆は終わってしまいましたが、これからもふとした時に読ませていただきたく存じます。(^ら^) (2月26日 19時) (レス) id: 6f83c28ab3 (このIDを非表示/違反報告)
葵斗 - 完走おめでとうございます!この作品を執筆中に読めなかった事を本気で悔やむレベルの素敵な作品でした。猿山君のことが大好きで、いつも猿山君に救われていた。そんな夢主ちゃんの猿山に拒絶された時の気持ちが深く伝わってきて思わず泣いてしまいました。 (2月26日 19時) (レス) @page24 id: 6f83c28ab3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:てぃー | 作成日時:2024年1月10日 19時