・10話 ページ10
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ギィっと錆びた音を立てて屋上へと続く扉を開く。
途端びゅうっと風が吹いて身震いをした。
まだ外で食べるには肌寒い四月下旬、誰が屋上で食べたいと思うか。
少なくとも俺は嫌だ。
開いたドアの先、見覚えのある人影が二つ。
二人寄り添うようにお昼ご飯を食べていた。
一人がこちらに気づいて手を振ってくるので、それに小さく手を挙げ応える。
早くーと何故か急かされ少し小走りで向かえば、手を振っていたニノが「遅い！」と抱きついてきた。
言葉と行動が合ってませんよ二宮さん……
「遅かったね？」
「あーちょっと、ね」
「どーせ、また相葉だろ？迷惑な奴だな」
厳しいニノの言葉に「ははは…」と苦笑いしつつ、これ雅紀が聞いたら泣くな、頑張れ雅紀と友人に思いを馳せた。
「で、話ってなんなの？」
今日俺が屋上に来たのには理由がある。それは、ニノが大事な大事〜な話があると言うからだ。
智くんにも関係しているなどと言われれば、行かないわけにはいかないだろう？
こういうことはよくあって、
俺が智くんに懐いているのをいいことに何かと演劇部の手伝いをさせられるのだ。
まだ何部に入るか決めていない俺をニノが執拗に演劇部へ勧誘してくる。
どうせまた今日もそのことだろうと、あまり期待はしていないが……。
「んふふ、まぁそんなに気張らなさんな」
「……何なの？」
「全くぅ、せっかちさんだねぇ翔ちゃんは」
なかなか言わないニノに若干イラつきながらも、しかし隣には智くんが居るから怒ろうにも怒れなくて。
じぃっとニノを見つめれば、ニコリとまるで天使のような微笑み、の中に小悪魔がチラリと見えた気がした。
「実は翔ちゃんに、折り入ってお願いがあるんですよ」
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
