・9話 ページ9
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気づけばもう、昼放課。
俺がいつも通り屋上へ行こうと廊下に出た時、後ろから誰かに呼び止められた。
しかもバカでかい声で。
こんなやつ俺の知っている限りでは一人しかいない。
「翔ちゃーん！！」
無視すれば後々面倒だと、一つため息をついて振り返れば案の定、隣のクラスの相葉雅紀がものすごい勢いで走ってきた。
「もぉ、待ってよ！！」
「何で待たなきゃいけないんだよ、てかそんな大声で俺を呼ぶなって何回言ったら、」
「まーくん、悲しい！！涙出過ぎて目が乾燥地帯だよ！」
そう言って泣き真似をする雅紀の頭をバシンと軽く叩けば、ごめんくさいと謝ってきた。
謝るくらいなら最初からやるなっての
「たくっ……で、なんか用？」
「あのさ、朝なんでニノと一緒だったの？」
あぁ、そうか。
こいつはニノの大ファンだったなーとぼんやり思っていれば、バシバシ肩を叩いて必死な形相で聞いてくる。
「ちょっと！翔ちゃん俺がニノちゃんの大大ファンだって知ってるでしょ！！抜けがけダメだよ！！」
「抜けがけなんてしてねぇよ、ちょっと助けてもらっただけ」
「助け、え、何かあったの？」
「んー、……ちょっと」
「なになに？教えてよ〜」
コイツに教えるとろくなことがない。
ここはなんとか誤魔化そうかとも思ったが、いかんせんコイツはしつこいのだ。
本当のことを聞かないと気が済まない性分で、何度その被害にあってきたことか。
もはや数えることも億劫である。
「誰にも言うなよ、言ったらニノにお前の良からぬ噂を、」
「わかったわかった！誰にも言わないよ！！」
雅紀はこう言っとけば何とかなる。
我ながら上手いこと丸め込めていると思う。
まぁ、良からぬ噂なんて聞いたこともないけどね
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
