・23話 ページ23
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一度そう思ってしまうとそうとしか思えなくて、現に二人は今も寄り添って昼飯を食べている。
俺の目の前で。
「あ、ねーそれちょうだい」
「ん、ほい」
「あざーす」
もぐもぐと両頬を動かしながら智くんの弁当に入っていたハンバーグを躊躇無く智くんの箸で食べたニノに少しムッとしながらも、俺も貰おうと智くんに近づいた。
この間クラスの女子達が話していたキュンとくるという上目づかいを使って。
「ねー智くん、俺にもちょうだい？」
すると彼はチラッとこっちを見たかと思ったら一言、
「やだ」
そして何事も無かったかのように弁当を食べ続ける智くん。
あれ、おかしいな…
上目づかいってこうだよな？
なんか間違えたかな…？
も、もう一回！！
「ねぇ智くん、俺にもハンバーグ、」
「やだってば」
「な、なんでやだなの？ニノだけズルい！！」
「は、」
俺がぷーっと頬を膨らませて怒ってますアピールをしながら智くんを睨んでいると、ニノがクスクスと笑いながら口を挟んできた。
「ズルいも何も、翔ちゃんだって入ってるじゃないハンバーグ」
「そーだよ、同じ弁当じゃん」
「うるさい雅紀！！」
「なんで俺だけ！？」
たまたま廊下で会って流れで一緒に昼飯を食べることになった雅紀も口出ししてくるからさらにムッとする。
ギャンギャンと隣でワンコのように吠える雅紀をスルーしつつ、智くんに詰め寄れば彼は困ったように眉を下げていて少し拍子抜けする。
「ごめん、翔くん」
「え、智くん？」
「ごめんな、気づいてやれなくて」
「ん？待って、何が？」
一人困惑していると「あーあ、智が傷ついちゃった〜」「ね〜、翔ちゃんひど〜い」と二人がコソコソと話しているが、聞こえてるからな！！
そんな二人は無視して、今は智くんの言葉の意味を解読しなければ！！
昔から口数の少ない智くんだけど、目は口ほどに物を言うって言うだろ？
最近はなんとなくだけど、智くんが今何を思っているのか目を見ればわかるようになってきたんだ。
たまに全くわかんない時あるけど...
今日は、そのわかんない日かも.....
するとおもむろに智くんが口を開いた。
「足りねーんだろ？」
「え、っと...何が？」
「何がって弁当、足りねーんだろ？実はちょっと少なめにしてたんだよ」
「え、そうだったの？！」
「翔くん最近太り気味かなって思って」
まさかの衝撃発言に驚きを隠せない今日この頃。
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
