恋をしたのは王子でした (ページ22)

今日:8 hit、昨日:5 hit、合計:72,289 hit

・22話ページ22

:

その後しつこく聞いてみたけど理由は教えてくれなくて、「ご飯食べたら」とか「お風呂入ったら」とかなんとか言ってはぐらかされた。
終いには「じゃあ第一希望のとこに演劇部って書いて」なんて言うもんだから智くんの前で部活動希望調査の第一希望のところにペンででっかく『演劇部』って書いてやった。

どーだ！ってドヤ顔で顔を上げれば、智くんは珍しく口を開けてポカンとしていた。

あ、あれ？思ってた反応と違う

……もしや神様、あの智くんが言葉も出ないほど驚いているのではありませんか？
まさか本当に書くとは思わなかったのでしょう？そうでしょう！！

今にも笑いだしそうになるのを必死に耐えていると目の前にいた智くんにパッと紙を取られた。
あっと思ったのも束の間、智くんがふふっと笑った気配がして、

「ばかだなぁ翔くん。本当に書いちゃうなんて。しかも、ペンで書いちゃったら消せないじゃん」

それに、誰も書いたら教えてあげるなんて言ってないよ

「え」

んじゃ俺はお風呂に入ってこよーかな、
そう言うと颯爽と部屋を出ていった智くんの顔は、ムカッとするほどニヤニヤしていた。

やられた、

あの智くんにまんまとハメられた

そう思っても後悔先に立たず、ペンで書いてしまったのだからどうしようもない。
なんて浅はかな考え、よく考えればわかったことだろ自分!!

「う～～あーー、………ばかかおれは」

智くんの部屋にもかかわらず、俺は床に寝そべってゴロゴロと言葉にならないことを叫んでいた。
実際にはもう夜も遅いので聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声だったが。

全く智くんはこんなにもいぢわるな人だっただろうか。
ニノに似たんじゃないか、そう思うくらいには最近の二人は仲が良い。
そういえばこの前も屋上で寄り添って食べていたし、この間なんて肩を組んで歩いていたし。

それにニノが一口ちょうだいと言えば智くんは嫌な顔ひとつせずあげるのに、俺には「え～翔くん一口でかいんだもん」なんて言ってくれないなんてしょっちゅうなのに!!

そこで俺は一つの結論にたどり着いた。

"ニノと智くんは付き合っている"

.