・3話 ページ3
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『………くん、しょ……くん、』
んん……なんか、声が聞こえる
『しょう……、おーい』
すんごい肩叩かれてる気がする……
いや叩かれてる
いた、いっ、痛い痛い、
「痛いよ、もう！」
「やっと起きた」
「うわっ」
瞼を上げた途端目の前に人の顔があり、驚いてテンパってベッドから落ちた。
「いってぇ……」
「大丈夫？」
と、手を伸ばしてくる彼は俺の幼馴染の大野智。歳は一個上だけど、見た目はだいぶ幼くて、下手したら俺のが歳上に見られるくらいで。
ベッドから落ちたことで一気に目が覚めた。
智くんの手を取って布団の端に二人並んで座った。
「智くん珍しく早起きだね」
「違うよ、翔くんが寝坊したんだよ？」
「寝坊じゃないですぅ、今日は土曜日だもん」
「でも、休みの日でも9時前には起きてたで
しょ？」
「そー、だけど……」
実は智くんとは俺が高校生になる時からルームシェアをしている。
普段なら俺が智くんを起こす側なのに、疲れが出たのか智くんの言う通り今日はいつもより起きるのが遅かった。
遅いって言ってもほんの少し、ちょーっとだけだし。
そして何故か智くんは休日だけ起きるのが早い。
全く、起きれるなら普段からそうしてよ。
俺がぼんやりしていると、まだ寝ぼけていると思ったのか目の前で手を振ってきた。
「おーい、翔ちゃ〜ん」
「起きてますよ、寝ぼけてませんよ」
「あら、そうですか？」
「そうです、そうです」
んふふ、と笑う智くんに俺もつられて笑った。
ひとしきり笑いあって、ふと智くんが何か思い出したようにこちらを向いた。
「朝ご飯、作ったんだった。冷めちまう」
ほら、行こうと俺の腕を引っ張りリビングへ。
今日は何かな〜と独り言のつもりで言ったら、
焼き魚、米、味噌汁！と元気よく返事があって思わず笑った。
「あら、聞こえてましたか」
「うん、翔くんの声は聞き取りやすい」
智くんに腕を引かれながら、今日もあなたの作った朝ご飯を食べれることに嬉しく思う。
だって美味しいんだもん。
これからもずっと、食べられたらいいのに
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
