・20話 ページ20
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家に帰ると既に智くんが帰ってきていて、なんとなく気まずい。
いや、俺がただ勝手に気まずくなってるだけなんだけど。
「た、ただいまー」
…………返事なし
あれ？帰ってきてるよね？
だって靴あるし、リビングのソファには鞄も置いてある。
まさか、と思い智くんの部屋へ急ぐ。
「智くん！！」
頼む、無事でいてくれぇ！！！
バンッと勢いよく開いたはずの扉は、ゴンッと何かにぶつかり半分しか開かなかった。
ぐいぐい扉を押しているといきなり内側へ引かれ体が傾く。
ヤバイと思ったのもつかの間、見事に転んだ。
「うおっ、なにびっくりしたぁ」
「ぅう"、智くん大丈夫……？」
「いや翔くんが大丈夫？」
「もぉ、しっかりしてよ」と腕を引かれながら起き上がり、智くんの安否を確認。
良かった、泥棒にでも鉢合わせて危険な目にあってなくて。
思ったことを言えば、呆れてますと言うような目で見られ口を噤んだ。
目は口ほどに物を言うとはよく言ったものだ。
あー智くん、お願いだからそんな目で見ないで
今日はただでさえ気まずいのに……!!
気まずさから俺は何も言えず、智くんは何も言わないから自ずと沈黙が訪れる。
何か言わないとと頭をフル回転させるも、こんな時に限って頭は働いてくれず。
とりあえず智くんは無事だったのだから自分の部屋へ戻ろうかと思った時、
「なぁ、翔くん」
意外や意外、沈黙を破ったのは智くんで。
今度こそ呆れられてしまったかと思い、次に来る言葉にビクビクしながら待っていると、
「ニノのことだけど、全部俺のせいなんだ」
「ごめん」と頭を下げる智くんに、ポカンと口を開けたまま固まる。
ニノのこと？俺ニノに何かされたっけ？
智くんが謝るようなことは何もされてないはずだけど……
ニノとのことを色々思い返してみるけど全く心当たりが無さすぎて、むしろニノに冷たくあしらわれている雅紀に謝ってやってよと思うくらいで。
俺が何も言わないから怒っていると思ったのか、智くんは恐る恐るといった様子で顔を上げる。
そんな彼に笑いかけて怒ってないことを伝えると、ほっとした表情になりこっちも安心する。
「あは、ごめん智くん。
その、ニノのこと？についてはなんのことだかさっぱり……で、」
「へ、」
「いつのこと？俺何かされたっけ？
あ、もしかしてこの間帰りが遅くなった日のこと？」
「……………は？」
あれ、おかしいな
またさっきの呆れた目で見られてる気がするぞ
神様、年頃の智くんは難しいです
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
