・12話 ページ12
.
あれから結局、雅紀がゲーセン行きたいと言い出し、ニノも雅紀に乗せられて某カートレースのゲームをマジでやったりと色々やった。
そして最終的には3人でプリクラを撮るっていうね。
帰ったのは夜の9時前だった。
いや〜、今日一日で俺の財布はぺったんこよ。
バイト増やさなきゃな〜
家の前まで来て、思い出す。
そういえば、智くんはもう寝たかな？
そっと玄関の扉を開くと中は薄暗く、やっぱり寝てるかと少し落胆する。
「ですよね〜……」
リビングに入り灯りをつけると机の上にご飯にラップがかけられた状態で置いてあって、今思えば智くんに何も連絡を入れていなかったことに気づく。
スマホを開けば智くんから『寄り道してくるの？』とメッセージが入っていて、途端に申し訳なさがこみ上げてくる。
あー、やらかした……
今日中に一言謝りたかったが、仕方ない。
明日の朝ちゃんと言おうと心に決め、ご飯食べて今日はもう寝ようと箸を持った時、部屋の奥からガチャっと控えめな音が聞こえた。
ペタペタとこちらに近づいてくる足音に少し緊張しながらも振り返れば、智くんが眠そうな顔で俺を見ていた。
「た、ただいま」
「……」
「あ、えと、ごめん連絡しなくて」
「……」
「ご飯、ありがとう。いただきます」
返事のない智くんに不安になりながらも、ご飯は頂こうと手を合わせ食べようとした時。
「だれ」
「え、」
「だから、誰と？」
今まで見たことないような感情のない顔で見つめられて、ヒュッと喉が鳴る。
怒ってる……？
「ニノと、雅紀」
「そ。スープもあるんだ、飲むでしょ？」
「あ、うん」
さっきと打って変わり温めるね、とニコリと笑いキッチンの方へと消えていった。
それからはあれは見間違いだったのかと思うほどいつも通りで拍子抜けする。
でも一瞬、本当に一瞬だったけど
背筋が凍るほどの冷たい視線を
俺は、忘れられない
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
