・11話 ページ11
.
「あっぢぃ……」
この季節には珍しく、今日は朝から気温が高い。
本来ならば涼しくて丁度いい気候の筈が、少し動けば汗が出る程で。
しかも放課後だから冷房は切れてるし。
どうして俺はこんな所にいるのだろう、と何度思ったことか。
隣でそわそわと落ち着きのない雅紀に視線をやりながらぼんやり考えていた。
「ねぇ翔ちゃん、本当にニノちゃん来るの？」
「……んー？」
実はニノに放課後、教室で待っていてほしいと言われていたのだ。
それから大事な話をするとの事で、さっきは教えてもらえなかった。
そして何故かたまたま部活が休みだった雅紀も一緒に待つという。
雅紀はスポーツ推薦で入学した為、必然的に部活は中学からやっているバスケ部。
推薦されるだけあって本当に上手で、ほかの一年生はまだどの部活に入ろうか迷っている頃なのに、雅紀は既に部活に行っている。
「おーい、翔ちゃん！」
「あー？……たしかにちょっと遅いな」
「俺、迎えに行こうか」
「それは結構デース」
「うっわ！」
いきなり現れたニノに俺と雅紀は肩が上がる程驚いて、二人して固まった。
別に何か悪いことをしていたわけでもないのに、なんだかイタズラをしていて見つかった子供のような気分だ。
「もうニノちゃんびっくりさせないでよ！！」
「知らねーよ、てか何でお前までいんの」
「あー、たまたま雅紀が部活休みで、それで……」
そういえば「ふーん」と興味なさげに、諦めたのか俺の前の席の椅子に後ろ向きで座った。
そしてニノが肘をついてこっちを見るから必然的に顔も近くなって見つめ合う形になるから、雅紀じゃないけど少しドキドキした。
というかそんなの雅紀が許すはずもなく隣で「近い」だの「翔ちゃんそこ変わって」だのガヤガヤとうるさい。
仕方なく少し後ろに引けば何故かニノがグイッとこちらに近づいてくる。
「え、」
そしてチラッと雅紀を見て俺に微笑みかけ、甘い声で名前を呼ぶ。
「んふ、翔ちゃん」
どうやら雅紀の反応を面白がっているらしい。
するとピロリンっと俺のスマホがなってメッセージが届いた。
そこには『コイツがいると面倒だからまた今度話す』と目の前の人からで。
いつの間にやったのか、全く器用な人である。
それにこくんと頷いて、このまま帰るのも変だから3人でコンビニにでも寄って帰ろうという事にして、なんとか雅紀を誤魔化した。
雅紀はニノちゃんとデートだとかはしゃいでたけど……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年4月18日 22時
