・2話 ページ9
二宮が教室を出てから1時間弱。
それにしても……、
委員会、長くないか
たしかにもうすぐ球技大会だし、二宮は体育委員だから仕事があるのは分かってるよ。
にしても、長いでしょ。
体育の先生そんなに話長かったっけなぁ
するとガラッと扉の開く音がして、我に返る。
二宮かな？と思って振り返った先にいたのは、
「あれ、まだ人いたんだ」
できれば今1番会いたくなかった人で
「あ、もしかして櫻井さん？」
気分が下がる私に反してテンション高めに聞いてきたのは松本さんで、
無視するのも気が引けてこくんと頷けば、パァっと顔を綻ばせる。
私が頷いた途端バーっとこっちに駆け寄ってきて、
「私、松本潤！友達になろ！」
いきなり両手を掴まれてブンブン上下に振られて。
な、なんなのこの人……！？
戸惑っていたらサッとスマホを取り出し
「そうだ、連絡先交換しよっか」
とニコニコとスマホを差し出してきて
「ちょ、ちょっとまって！なに？いきなり友達になろうって言われても、」
すると、きょとんと首をかしげて
「いきなり？私はずっと話しかけようとしてたもん、でも櫻井さんすぐどっか行っちゃうから……」
今度はしゅんとして、今にも泣きそうな顔になる。
そ、そんな顔しないでよぉ
こっちが悪いみたいじゃん
「ぁ、そ、そうだったんだ！ごめんね気づかなくて。……LINEなら、いいけど」
そう言えば、ほんと！とまたパァっと笑顔になって
仕方ない、二宮の友達だもんね……
と自分に言い聞かせる
「じ、じゃあ私はこれで、」
「え、帰るの？」
教室を出ていこうとすれば、ぐいっと思いのほか強い力で腕を引っ張られて、よろめく。
「こ、今度は何？」
頼むから行かせてくれ、と心で願うも松本さんはそんな願い知るはずもなく
「一緒に帰ろう！」
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年3月6日 21時
