両想いという名の片想い【番外編】 (ページ23)

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・3話ページ23

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カキーンと甲高い音が響き、今まで騒がしかったグラウンドが一斉に静まり返る。
グラウンドにいる人は皆空高く打ち上げられたそれを息を呑んで見つめていた。
そしてフェンスを超えボールが見えなくなった途端に先程の騒々しさが一気に戻ってくる。

中には勝って嬉しがり仲間と喜び合う者、
負けて悔し涙を流す者、
そして俺も
中学最後の大会で負けた内の一人。

試合後、一人顔を洗いに行った。
今日は日曜日でほかの部活の奴らはもう帰っているから人気は無い。

バシャッと勢いよく出る水は何だか生温かった

この試合が終われば俺の中学高生活も終わったも同然。
小学校から続けていた野球は、この時辞めようと決意した。
別に怪我をしたわけでもないし、野球を嫌いになったわけでもない。

ただちょっと、疲れちゃったんだよね

ガムシャラにボール追いかけて、何度もスウィングしてボール磨いてって、

そんな事を当たり前のようにやっていたのに、ふと思っちゃったんだよ

あー何やってんだろうって。

今日の試合に負けて、やっと諦めがついた。

今までも何度か辞めようと思ったことはあったけどその度に、まだやりたい、あと少しだけってなかなか諦められなかった。

けど、もういいんだ
おしまい、頑張ったでしょ、俺
負けたって言っても二点差だし、
結構いい勝負だったんだ、もう悔いなんてない

なのに何で、何で視界がぼやけるんだろう……

悔しくなんてない、悔しくなんか………うそ

悔しいに決まってんだろ、何見栄はってんだよ
なんだよ二点って、なんで後ちょっとが届かねぇんだよ
もう最後なんだよ、三年は

泣いたせいか目が痛い。
またギュッと蛇口をひねり顔を洗った。

「あーやべ、タオル……」

流石に夏でもこんなにビショビショじゃ風邪をひく。
首に掛けていると思っていたタオルは残念ながらカバンの中だ。
仕方なくタオルを取りに行こうとした時、ジャリっと後ろから音が聞こえた。

「あの、良かったらタオル使いますか？」

そこには先程まで戦っていた相手チームの学校の制服を着た1人の女子生徒がいた。