・5話 ページ12
今日はいつも通りバスに乗れそうだななんて思ってたら
「あ！櫻井さん！！」
ん？どこかで聞いたことある声……
誰だったかなぁ、
「あれ、櫻井さん？おーい、櫻井さ〜ん！！」
もしかして、と思いくるりと後ろを振り返れば
ぼんっと背中に小さな衝撃
「やっぱり櫻井さんだ！！もう、人違いかと思って焦ったよ〜」
松本さんが笑顔で立っていた。
う、朝から眩しい笑顔で……
「おはよう！櫻井さんこのバスだったんだね！！」
「ぇ、あ、うん。……松本さんも？」
「ううん、私はいつも一本あとのやつなんだ。今日はたまたま日直で」
あ〜と頷けばなぜか嬉しそうな顔で見られて、一緒に行こう！と言われた。
やっぱりか、
「翔ちゃん、だれ？」
くいくいと袖を引っ張られて、あっと思い出す。
そういえば智くんいたんだった。
松本さんの存在が濃すぎて忘れてた。
えっと、こちらはって私が紹介しようとする前に
「私、松本潤っていいます！！櫻井さんの友達です、ね？」
とそんなキラキラした笑顔で見ないでくれ、胸が痛い……
こくりとぎこちなく頷いたのをみて智くんは
へ〜と興味があるのかないのかといったような反応。
そしてさっきから松本さんが、早く紹介してって顔で見てくるから智くんを簡単に紹介する。
「えっと、この人は大野智くん。これでも一応3年生で美術部の部長なんです」
「一応ってなんだよ〜」
と小突かれた。
だっていつもぽけ〜っとしてるからと言えば、翔ちゃんだって天然じゃんなんて言うから、
智くんだってと言い返せばむぅと頬を膨らませる。
すると今まで静かに私たちのやり取りを見ていた松本さんが耐えきれないとでもいうように、あははと笑い出して
「本当に仲がいいんですね！」
兄妹みたい、羨ましいな〜と笑う。
聞けば松本さんは一人っ子らしい。
バスに乗ってからは2人して松本さんのマシンガントークを聞いて朝からクタクタ。
別れ際智くんに、あの子苦手かも。なんて言われて苦笑いするしかなかった。
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作者名：クマアラシ | 作成日時：2018年3月6日 21時
