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王と異国のスリ。もしも関係がバレたらどれだけヤブの不利になるだろうか。
ヒカルはそれをずっと考えていた。
特に城に入って、ヤブが自分のことを隠すようになってから余計に。
そう…ヤブだって分かっているのだ。
私生児であるが故に学校も仕事さえもまともにつけず、人として何にも認められなかったスークでの扱いとなにも変わらない。
いや、しかしヒカルが真に考えていたことはそれだけではなかった……。
ついて行きたいとヒカルが言った時、イノーは何も言わなかった。
今もまた、何故だか楽しそうに砂を蹴っているだけ。
ダイキはヒカルの言葉に目を丸くして、ついて行きたいと言った時と同じことを言った。
「でもヤブちゃんはヒカルくんのこと本気で好きだよ……身分の差なんて、こだわってないよ、そんな人じゃないよ……」
「分かってるよダイキ。分かってる、ヤブはオレのこと本気で愛してくれてる……」
ヒカルは微笑んだ。
あの時はそこで話をやめてしまって、イノーがいいよーおっけー！ といつもの調子でちゃかして話はどう抜け出すかに移ったけれど、今は砂漠のど真ん中。
もうヤブに会うこともない……
ヒカルは思わず本音を口にした。
「でも、だからこそオレはさよならしなくちゃいけないんだ。もしヤブがいいかげんな奴で、オレなんていっぱいいるうちのひとりだったら逆に城に残ったかも。気楽にお城暮らし楽しんだかもしれない」
強い風が吹いた。
日が少し傾き、3人の立つ砂丘の上に人ふたり分の長い影を作る。
ヒカルは目の前の広大な景色を見つめた。
オレンジに染まる砂の大地。どこを向いても、どこまでも砂だ。
不毛の大地のはずなのに、砂漠の景色に何故こんなにも心が穏やかになるのだろう。
ずっと生きてきたスークよりも、砂漠にこそ故郷を感じる。
ヒカルはあの日のヤブの言葉を思い出す。
剣を天高く掲げ、兵士たちを鼓舞した言葉を。
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SK329(プロフ) - なえさん» ありがとうございますっ！ソース入れ、きっと夢心地な乗り物でしょう（乗り物？笑）最近ご本人たちのプロデュースがまるで二次創作なので負けないようにこれからもがんばります笑 (2021年7月22日 11時) (
レス) id: 56bbba7c64 (このIDを非表示/違反報告)
なえ(プロフ) - 遅くなりましたが、完結おめでとうございます。ハラハラドキドキしながら読んでいました。ソース入れでの世界ではきっと楽しく過ごしているんだろうなぁ。素敵なお話ありがとうございました。 (2021年7月20日 19時) (レス) id: 1437478d94 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - ひーさん» ありがとうございますっ！ソース入れの中はきっと部屋も別れていて快適でしょう笑 裏も開始しましたので、楽しんでいただけると嬉しいですっ (2021年7月20日 10時) (レス) id: 56bbba7c64 (このIDを非表示/違反報告)
ひー(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の妖しげな雰囲気にドキドキしましたが､イメージされた曲のように二人は足跡も残さずに幸せに旅立ったんですね｡裏も楽しみにしてます♪ (2021年7月16日 12時) (レス) id: a9133940c3 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - ずみさん» ありがとうございますっ♪ 終わり方褒められるの嬉しい…(*/ω＼*) 魔法の世界だから永遠はあるのです！笑 裏もがんばりますっ (2021年7月13日 15時) (レス) id: 4bd0a1eb37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SK329
| 作成日時：2021年6月10日 14時
