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林檎は粉々に弾け飛び、金のオーラが宙を舞う。
王に、謁見の間にいるすべての者にそのオーラは振り注ぐ。

剣を構えていた親衛隊たちが、そのまま硬直し動けなくなった。貴族たちも恐怖に顔を強ばらせるが、悲鳴さえあげられない。

ヤブは王を突き飛ばし、王座から転がり落とした。
慌てて起き上がろうとした王の喉元に、剣の切っ先を向ける。


「さぁ話せ。父たちをどうした」

「あ……う。最後の…杯に毒を……。森を、出た…ところで……斃れ……た……」


やはり。
ヤブは血が滲むほどに唇を噛みしめた。
ユウヤも剣を握る手が震えている。


「何故っ!! 父の最後の手紙は、王に大変感謝され光栄だと書いている! 父もお前のことを敬っていた! 円満に任務を終えたのではないのかっ!!」

「あ…あぁ……よく、やってくれた……やりすぎた、とも…いう……姫、たちを、……剣術を……。だが、秘密を、知られた、からには……生かして帰す……訳にはいかぬ……」

「秘密!? それは、」


王の顔が歪む。
喋りたくないのだろう、だが林檎の力がそれをさせない。
王は必死に抵抗する。自ら喉を押さえ、声を潰そうとするほどに。


「貴様往生際の悪いっ!! 秘密とはなんだっ! 話さなければそのまま死ぬことになるぞっ!!!」

「もう秘密なんてどうでも良いヤブくんっ!! オレらの望みはただ仇!!」


ユウヤが王を殺せと迫る。ヤブは剣を強く握り返す。
目の前で怯えた顔を見せるこの男。
この王。

喉を押さえ、なんとしても話すことを拒否する。
いったいなんなのだ、その秘密とやらは。
そのせいで父たちが―――毒を。

父さん!!!

 
 
自ら剣を抜くユウヤを押しのけ、ヤブは怒りのまま、王に向かって剣を振り上げた。


「貴様ぁあああああ!!!」

「待って、ダメだヤブっ!!!!」


その時。ヤブの名を叫ぶ声。

突如現れた人影が、倒れた王を庇うように立ち塞がり、ヤブの剣を、構えた細身のスピアで受け止めた。
大きな瞳を見開いて、薄いレモン色のドレスを翻すヤオトメ姫―――。


「な、何故林檎の効力が効かな……いや、おまえは、」

「お願い待ってそれ以上は――っ! 父のやったことは許されない罪。必ずや報いを受けます! だからお願い、王殺しは大罪だ。ヤブにそんな罪を犯して欲しくない……」



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SK329(プロフ) - ずみさん» コメントありがとうございますっ!やっぱり男子が良いですよねぇ、ドレス姿になるにはいつも羞恥が欲しいです笑 まだなにも浮かんでませんが、次またファンタジーやったらまたまた雷になりそうな予感があります笑 (2019年12月11日 11時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - 完結おめでとうございます!sk329さんのファンタジーは毎回ワクワクさせるもの。雷の設定がだいすきです。やぶひかは男にしてくれてありがとう! (2019年12月10日 1時) (レス) id: 61e430b579 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - なえさん» コメントありがとうございますっ!dkwk嬉しいですっ物語が破綻しないで良かった(*´∀`*) 続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございますっ!雷、なんかイメージに合うんですよね!火より雷。単に黄色だから?笑 双子設定も楽しく書けたのでそう言っていただけると嬉しいですっ。続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございますっ!父と子…確かに。でも気づけば勝手になんです、多分書きやすいのです笑 王国は明確にモデルいましたが、かごめと今回は単にやな奴ですね汗 そしてパレード、ラストの竜のとこ恐れ多いけれども合う…と思ってしまいました汗 (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SK329 | 作成日時:2019年10月8日 16時

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