魔の山２

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「あー、美味しいねぇここ。僕たち国の外に出たの初めてなんだよ。山を降りたのもあの時がはじめてなんだけどね」

「おまえヒカルの雷食らってただろ。死ななかったのかよ」

「わー、死ぬとかやめてよ死ぬわけないじゃん。でもだいぶ痛かったよね、リョウ」

「……あったまきた」

「って君誰なのさ」

「彼はリョウだよ、竜。あの竜の人型」

「へー、あれがこれに。人なの竜なの、どっちが本性なの？」

「……人」


ユウヤにぽつりと答えるリョウ。
隣でユーリが、リョウは半竜族の最後のひとりなんだよ、だからどっちも本当だよと答える。


「嘘っぱちの双子の姉妹よりね」

「あれは…魔法のイリュージョン……」

「でももう半分本当になっちゃったけど」


子供の顔をしてユーリは、大きなマグに入った酒をごくごくと飲んでにやりと笑った。


「林檎、ねぇ。ちゃんと燃えたんだよ。ヤブちゃんの使わなかったもう一個」

「はぁ？ じゃあなんでヒカルはっ、」

「僕が別れ際にヒカルにあげたひとつ。本当はもしもの時に元に戻れる様にあげたんだけどね、なのに計算違い、一個燃えちゃったから……」

「え、ちょ、どういうこと？ 王が結局林檎手に入れて、どっちかを姫にするって思ってたわけ？」

「そんな可能性も出てくるかなって。だけどヒカルは林檎を王に差し出しちゃってね、君らの解放を条件に本物の姫になった……」


ガタリと、ヤブは立ち上がった。
さっきまで水のように飲んでいた酒が急に回ってくる。
気持ちが悪い。頭がぐらぐらする。



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