70 ページ20
.
翌日。
ヤブとユウヤは突然牢を出され、窓のない囚人移送馬車に乗せられた。
馬車はゴトゴトとどこかへ動き出す。音からすると、もう一頭馬が付いてるようだ。
手錠などはされていないが、剣もない外も見えない状況で油断できない。
父たちの最期が脳裏を過る。
時折休憩を取りながら一昼夜馬車に揺られ、そしてふいに止まった。
外から降りろと声が掛かる。
外に出ると、そこはどこかの森。
朝靄がかかっている。
馬に乗ったひとりの騎士を残し、馬車はふたりを降ろすとどこかへ立ち去ってしまった。
馬に乗った騎士は動かない。
冷ややかな顔をふたりに向けている。
「ここでさくっと殺す気ってか。剣がなくてもたったひとりとは舐められたもんだ」
軽口を叩いても騎士は動かない。
馬車の音が完全に消えると、騎士はおもむろに馬を下りた。
そして脇に携えていた長い包みを開く。
現れたのは見覚えのある2本の剣。
「それ、オレのっ」
「……そうだよ、ふたりの。ちゃんとイノちゃんが隠してたからね」
怜悧な顔に似合わない突然のくだけた口調。
騎士が顔を上げてニコッと笑う。
全然見たことのない顔なのに、見覚えのある笑顔……。
「おまえダイキか?」
牢にいる間、何回も食事を持ってきてくれたダイキ。
すっかり慣れてタメ口にもなっていた。
騎士は――ダイキはうんうんと頷いた。
「大当たりっ! 釈放決まったけど途中で王の手下がなにすっか分からないからね、オレがイノちゃんの魔法で顔変えてお目付で付いてきたってわけ。ここは国外れ、この道をいったらすぐ隣国だよ、さらにその先はヤブちゃんたちの国」
「オレたちは国外追放ってわけか――王に剣を向けてよくそれで済んだな」
.
159人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
SK329(プロフ) - ずみさん» コメントありがとうございますっ!やっぱり男子が良いですよねぇ、ドレス姿になるにはいつも羞恥が欲しいです笑 まだなにも浮かんでませんが、次またファンタジーやったらまたまた雷になりそうな予感があります笑 (2019年12月11日 11時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - 完結おめでとうございます!sk329さんのファンタジーは毎回ワクワクさせるもの。雷の設定がだいすきです。やぶひかは男にしてくれてありがとう! (2019年12月10日 1時) (レス) id: 61e430b579 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - なえさん» コメントありがとうございますっ!dkwk嬉しいですっ物語が破綻しないで良かった(*´∀`*) 続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございますっ!雷、なんかイメージに合うんですよね!火より雷。単に黄色だから?笑 双子設定も楽しく書けたのでそう言っていただけると嬉しいですっ。続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございますっ!父と子…確かに。でも気づけば勝手になんです、多分書きやすいのです笑 王国は明確にモデルいましたが、かごめと今回は単にやな奴ですね汗 そしてパレード、ラストの竜のとこ恐れ多いけれども合う…と思ってしまいました汗 (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:SK329 | 作成日時:2019年10月8日 16時