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その頃。

ヤブは目を覚ました。
オレは一体どうしたんだ。確か、竜の炎が迫ってきて……

伏していた地面から、慌てて身を起こす。
両手。身体。足。どれも無事だ。焦げさえない。

隣でユウヤが倒れている。


「おい、ユウヤっ! しっかりしろっ!」

「ん……う、ん……あれ? ヤブくん……オレら天国でも一緒?」

「バカ言うんじゃねぇ。生きてるわ」

「あ、ホントだ。生きて……ヤブくんっ!」


ユウヤが起き上がって、そして右手をヤブに差し出した。
ユウヤのその手には枝が握られていた。
枝には金の林檎が2つ……。


「ど、どうして、」

「わっかんねぇ……オレもぎってきた? いや、そんな暇無かったよね……竜の炎にファイヤーっっって……てか、ここどこ?」


ヤブも見渡す。森の中だ。
さっきまで林檎の木以外荒れ果てた魔の山の頂上にいたというのに。

いやしかし、見覚えがないかここ……。


「城の……裏手?」


ユウヤが呟くのに、ヤブは目をこらす。

そう、森と言っても魔の山の麓とは違い、人の手がはいった美しい森。
木々の間からかすかに城の尖塔も見える。


「なんでだ。徒歩で何日もかかるんだぞ。あいつの魔法か……?」

「ユーリだっけ、人の気持ちを読める魔道士。とっとと城に戻りてぇってオレの気持ち読まれちゃったかな」

「そんなこと思ったのかよ!」


ユウヤは林檎を持ったまま、ヘラヘラと笑う。


「そりゃ思うでしょ、まーた何日もかけて歩いて戻るの面倒だなって。オレ林檎手に入ったらそれ頼もうと思ってた」


確かに林檎を手に入れてそれで終わりじゃない。
帰りも魔道士の襲撃に備えながら何日もかけて戻ってくるのは至難だ。

ヤブはユウヤが握る金の林檎を睨み付ける。
これでついに請願が果たせるわけだが…だが全然すっきりしない。

林檎を守るはずのユーリが、なぜ林檎を手にした自分たちを城まで送るような真似をする?
一体なんのもくろみが。

それに、


「ヒカルは?」


あたりを何度見渡してもヒカルの姿がない。
まさかひとりであの山に?

ヤブは城に背を向け、街に向けて歩き出そうとした。
その腕をユウヤに捕まれる。



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SK329(プロフ) - ずみさん» コメントありがとうございますっ!やっぱり男子が良いですよねぇ、ドレス姿になるにはいつも羞恥が欲しいです笑 まだなにも浮かんでませんが、次またファンタジーやったらまたまた雷になりそうな予感があります笑 (2019年12月11日 11時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
ずみ - 完結おめでとうございます!sk329さんのファンタジーは毎回ワクワクさせるもの。雷の設定がだいすきです。やぶひかは男にしてくれてありがとう! (2019年12月10日 1時) (レス) id: 61e430b579 (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - なえさん» コメントありがとうございますっ!dkwk嬉しいですっ物語が破綻しないで良かった(*´∀`*) 続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - ひーさん» コメントありがとうございますっ!雷、なんかイメージに合うんですよね!火より雷。単に黄色だから?笑 双子設定も楽しく書けたのでそう言っていただけると嬉しいですっ。続編もよろしくお願いいたしますっ (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)
SK329(プロフ) - しろくまさん» ありがとうございますっ!父と子…確かに。でも気づけば勝手になんです、多分書きやすいのです笑 王国は明確にモデルいましたが、かごめと今回は単にやな奴ですね汗 そしてパレード、ラストの竜のとこ恐れ多いけれども合う…と思ってしまいました汗 (2019年12月9日 13時) (レス) id: f6c245c48e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SK329 | 作成日時:2019年10月8日 16時

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