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｢これか｣
｢そうそれ。家の近くのスーパーよりこっちのが安いっておばさんに頼まれてたの｣
半歩後ろでカートを押している轟が、
｢家庭的だな…｣と呟くが。 決して家庭的などではなくむしろその逆である。
私の度重なる失敗で、食料が減りつつあるので、謝罪の意味も込めて買い出しを買って出たのだ。……買い出しだけに。
｢卵、おひとり様1パックなんだよね｣
本当は勝己を誘って2つ買ってこいと言われたのだが、勝己はすぐに帰った。相変わらずだ。
スマホのメモ画面とにらめっこしながら、食材をカゴに入れていく。
特に深い意味もなく、私は
｢轟は、今日の夕飯何がいいと思う？｣
と聞けば、少し間を置いてから
｢食べたいものを作ればいいんじゃないか｣
と返ってきた。
｢食べたいもの……か｣
｢あとは、一緒に住んでる人の食べたいものとかだな｣
｢一緒に住んでる……｣
勝己の顔が脳裏に浮かんだ。勝己の食べたいもの……。
何が好きだろうか？
中学校3年間は全く会っていない訳で、その間に好みの食べ物が変わったかもしれない。
(こちらに何回か来てはいたが、会ってはいないし)
｢うーん……｣
｢まぁ、そんな深く考えることもないだろ｣
無事に買い物を終えた私たちは、もう少しで暗くなってしまう空を仰ぎながら、ゆったりとした時間を過ごした。いつもよりゆっくりと歩きながら、重くない沈黙を楽しんで。
なぜなら、轟が荷物を持つと言って聞かなかったからだ。
デクの荷物はともかく、スーパーの荷物は完全に私の私情で、流石にそこまで手伝わせてしまうのは気が引けた。のだが。
鮮やかに荷物ごとかっさらわれてしまったので、お言葉に甘えて。という感じで現在に至る。
｢轟、ここでいいよ｣
家の前で、轟から荷物を受け取る。
｢ありがと｣
｢あぁ｣
｢気をつけて帰ってね｣
轟はコクリと頷くと、帰っていく。
私はエコバッグに入った重い食材を抱え直して、玄関へ向かった。
にしても、こんなに重いのに轟は軽々と……。
明日もう一度お礼を言っておこう。
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はっしー - 泣けますね。ラストが、、、、、。爆豪君も結婚して、、、。意外です。面白かったです。 (2017年8月14日 4時) (
レス) id: 789bdf4173 (このIDを非表示/違反報告)
天照月夜(プロフ) - 泣いたァ (2017年7月26日 3時) (レス) id: d4fab0f3f8 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - まーやさん» コメントありがとうございます…！ラストは結構悩んだんですけど報われない感じになっちゃいました…。切なさを感じてもらえたのであれば幸いです！ (2017年6月11日 15時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
まーや(プロフ) - 死んじゃうのぉぉぉぉぉぉぉ！？切ないですね！←(空気ぶち壊し) (2017年6月11日 10時) (レス) id: 54dce99bb8 (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - 残念なイケメン系女子さん» コメントありがとうございます！誤字指摘ありがとうございます、修正しておきました！ (2017年6月11日 10時) (レス) id: 7bc15f0ad8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漱 | 作成日時：2017年4月23日 14時
