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髙谷さんの話を聞いて慌ててAさんの元へ戻る

『あいつは自分のことあんまり喋んないし言葉にすることも上手くないけど、人一倍繊細で傷付きやすいんだよ』

何が面倒臭いだよ

『それに、最初はあまり顔に表情でないけど実は泣き虫だし子供っぽいところもあるから』

もっとちゃんと向き合えよ

『あと、ずっと隆平とバッテリー組んでみたいって、話してみたいって言ってたから。多分あいつ勘違いして嫌われたって思ってるぞ』

あ、良かったまだいた

九鬼「Aさん？」

「え、？」

俺は最低なことしたかもしれない

振り向いたAさんの顔は涙で濡れていたから

「あ～ごめん、ちょっとコンタクトずれちゃっただけだからトイレ行ってくるわ」

九鬼「待ってください、！」

「ごめん、後でいい？」

九鬼「駄目です。俺、Aさんのこと嫌いちゃうし、てかむしろ話したいって思っとるし、その、さっきは逃げてすいませんでした、！」

今までは女でプロ入って相当メンタル強い人なんだろうなってイメージだったけど、目の前で目を赤くして泣く彼女を見ると全然そんなことなくていつも無理して頑張ってたと思うと心が痛くなる

「ずっと隆平には嫌われてると思ってた、だからすごく辛くて、でも話したくて。でもあんなことしちゃったから……」

九鬼「そんなことないっすよ、ただ俺が…」

「よかったぁ」

優しいんだねと泣き顔で微笑まれたら、俺がただ最低だっただけなのにって言えなくなる

「あのさ、りゅーへい」

九鬼「ん？なんですか？」

「いつか隆平とバッテリー組みたい」

この時俺はこの人には敵わないなと思った

さっきまで子どもみたいに泣いてたのに野球の話になると目が変わるんだもんな

「当たり前っすよ完封勝利しましょうね」

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