第弐拾伍話、怪火 ページ26
ふと、どこからともなく現れた茶封筒が森の前に躍り出た。
これは、と尋ねれば「ほんのお礼です」と返される。
「その中には俺の情報が入ってます。煮るなり焼くなり好きにしてください」
「君の情報?」
訝しげな表情をする森に、「はい」と笑顔で説明する。
「俺は貴方がたを知っていますが、貴方がたは俺の事を知らないでしょう?それじゃあ、
「…私がこれを警察に届けたり、君の邪魔をしたりすると、考えないのかい」
「いえ。全く」
即答だった。
あまりにもあっさりとしている。否、しすぎている。
心底どうでも良さそうに、夜空を見上げた。
「貴方はそうしないでしょう。先程言った通り、聡明な方だ。下手な使い方はしない」
一歩、後ろに下がる。
もう一歩、後ろに下がる。
ゆっくりとした足取りで、振り返りもせず。
見上げていた視線を森に戻し、目を細めた。
人間の瞳は、物理的に光ったり煌めくことはない。
だが、この男の目は違っていた。
爛々としている。
その光はまるで、怪しげに光る鬼火のように。これから起こる何かを待ち遠しくてたまらず、けれど狙いを定める野獣の如く、静かに灯す。
「ああ…誰かに俺の事を聞かれても、バラしてもいいですから」
柵に背中が当たる前に、コンクリートの床を蹴って柵に足を乗せた。少しでも傾けば、宙に身を投げ出す。
「俺はそろそろ行きますが、何か聞きたい事はありますか?」
「……君は、何者だね」
「ああ。そういえば、名乗っていませんでしたね」
始めまして。
俺は、"執行者"です。
直接目にし、耳にしていた広津は、何故彼が「バラしてもいい」といった理由が判らなかった。だが、今判明した。
「何故だ」
国木田の頬に冷や汗が伝う。
隣にいる太宰でさえ、目を見開いて
「何故、彼奴の__
Aの声が、此れからしたんだ」
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RANA(プロフ) - ゆかりさん» 遅くなりましたが続編で来ました!続編でも読んでいただけたら幸いです。 (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - ゆめのあきさん» そう言って頂けて嬉しいです!ありがとうございます (2021年8月1日 21時) (レス) id: 1320bd10d0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 続き待ってます (2021年7月23日 16時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのあき(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! (2021年7月15日 1時) (レス) id: e1a96e1817 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - らむくんさん» そうなんです……シリアスをシリアスにできずに本当に申し訳ないです切腹 (2020年8月14日 1時) (レス) id: 37ff009e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2020年8月2日 13時